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side K


「雨だ…」
リビングの窓から望む空からは、朝から降り続く雨。
「雨ですね…」
鬱陶しくて嫌になる。
「花火大会だったのに、」
折角、浴衣を届けてもらったのに。
「これでは中止でしょうね…」
「あっさり言うな」
窓を並んで眺めてたのっちを小突く。

「まぁ、仕方がないですよ。今日はゆっくり読書でも…」
のっちは窓を離れ、ソファーへ向かう。
「今日は冷えますから、紅茶はホットで飲まれた方が良いですよ」

渋々、ゆかもソファーへ。

すぐさま置かれる久方ぶりの紅茶(ホット)。

「のっちも座れば」
ポンポンと隣を叩けば、
「あっ、ではお言葉に甘えまして…」

ちょこんと座る。

随分、素直になったもんだ。


「のっちぃぃ、、、」
「はい?」
「本持ってきて」
「どんなのが読みたいですか?」
「ん〜…のっちに任せるよ」
「はい」


のっちが出て行ったリビングに響くのは雨音だけ。

「はやくー…」

雨、あがれ。



◆◇◆◇◆◇◆㊖


しばらくして、のっちが持ってきたのは…
「ボヴァリー夫人…」
「あっ!ダメ…でしたか?」
差し出したそれを、のっちは引き戻す。
「ううん、別に大丈夫」

ゆかが笑顔で手を出すと、心底ホッとしたようにそれを乗せた。

「良かったです。奥様が面白いと仰っていたので…」

知ってる。ゆかも勧められて読んだけど、寝ちゃうんだよね…いっつも。

「ねぇ、隣座ってて?」
「?お邪魔じゃないですか?」
「全然!むしろ、いてくれた方が良い」
「はぁ…では、失礼して」
隣にちょこんと腰掛けたのっちを確認して、ゆかは本の表紙を開いた。



side N




足下に先程ゆかお嬢様に渡した『ボヴァリー夫人』



肩にはそのゆかお嬢様の頭…。




ゆかお嬢様、寝ちゃいました。



「お嬢様〜…」

「ゆかお嬢様ぁ〜…」


「スー…」

「こんな所で寝ては風邪ひきますよぉ…」


「んにゃ…」

んにゃ…って、、、可愛すぎですお嬢様w


ゆかお嬢様を起こさぬように、ソォーッと肩から頭を下ろし、そのまま手を首の下に…。
「んっ、、のっちぃ?」

「あっすみません!起こして、、」
「のっちぃぃ…」

—…ギュッ

寝ぼけたゆかお嬢様が首に腕を回して、抱きついてきました。
「///」

もう、ひつじはこのままでも良いです。
ゆかお嬢様に抱きつかれたまま、とろけて消えても良いです///


でも、私が良くてもゆかお嬢様までとろけて消えてしまってはいけないので…。

「よいしょ」

肩口にお顔を埋めているゆかお嬢様をお姫様抱っこ。

階段を登りながら、少し自分の体力が落ちてきていると実感します。

いや!けしてゆかお嬢様が重くなられたとかではなく!
この前まで、ゆかお嬢様を抱えて、階段を登る事なんてへっちゃらだったんですけど…最近じゃ、軽く息切れが…。


筋トレとか始めてみようかなぁ…などと考えていたら、お嬢様の部屋の前。
両手が塞がってしまっているので、行儀悪いですが足で、、、えいっ!



ゆっくり、お嬢様をベットに寝かせる。
「お休みなさい。ゆかお嬢様」
そっとおでこを撫でて、部屋をあとにしました。



それにしても、相変わらず雨は止みそうにありません。



side K

目を覚ますとベットの上。
あー…のっちが運んでくれたんだなぁ。

しばらく天井を見つめて、ため息を一つ。

時計は3時を少し過ぎていた。

午後3時、、、かな?

カーテンの向こうから、光が少し射していた。

「雨、あがった?」


ベットから出て、カーテンを開ける。

「降ってる…」

部屋が暗かったから、外が明るく感じたんだな…。

「のっち?」
あまりに部屋が暗かったから、ちょっと怖くなった。
いや!ちょっとね?ちょっとだよ?

うん、ちょっと。ほんのちょっと…。


「のっち?」
リビングダイニングには居ない。
「のっち〜?」
キッチンにも居ない。
「のっちぃ」
トイレにもバスルームにもランドリールームにも居ない。
「何処行ったんよ…あのひつじ」


靴はあるから、外には出てないはず…

「あっ!」

あることを思い出して、階段を駆け上る。




—…ガチャ


「いた…」


ゆかの部屋の真向かい、八畳程の執事室。
ベットに寝そべっているのっち。

「のっち」
「スー…」
「寝てるの?」
執事服のまま。
シワになるのに…。
「のっち、服シワになるよ?寝るなら着替えんさい」
肩を揺らして起こしてみる。
「んっ、、お、嬢様ぁ?」
「服、シワになるよ」
「…ふぁい」
のそりと起き上がったのっちは寝ぼけ眼のままクローゼットを開け、Tシャツと短パンを取り出すと、Yシャツを脱ぎ始める。

「えっ!?ちょっと!」
ゆかの戸惑いの声なんて聞こえて無いのか、黙々と着替えるのっち。
なんか、そこまで何の恥じらいもなく服脱がれると、こっちもどーでもよくなるわ。


執事服を全部脱いだのっちはTシャツを着て、短パンを履こうと…

「…っとぉ、っとぉ、とぉ…」


—…バフッ


バランスを崩して、そのままベットへ倒れた。

「のっち?」
「スー…」
「えぇー!」
寝ちゃったよ!
片足に中途半端に短パンを履いて。
お腹見えてるよ。

「もう、、」
シーツを掛けてあげようとベットに近づいた。
そしたら、
「お嬢様ぁ…」
寝ぼけて、ゆかを呼ぶ。
「ゆか、お嬢様ぁ…」
寝ぼけてゆかの腕を掴んで、引き寄せる。

「…」
「…失礼しまーす」



雨もあがらないし、やることないから、
のっちと一つのベットで、向かい合って、お昼寝しよう。




おまけ
「んっ…」
「のっち」
「…あ、れ?ゆかお嬢様ぁ?」
「起きた?」
「今…何時、でしか?」
「4時過ぎたとこ」
「ん〜…もうちょっと、、、良いですか?」
「ふふっ、良いよ」
「へへっ」
のっちはゆかの頭を引き寄せて、髪に鼻をこすりつけて、また夢の中に行ってしまった。



避暑地三日目終了。






最終更新:2009年08月22日 20:40