「のっちぃ、ねえ、夜ご飯作ってよ」
これがキミの合図。
『ゆかの部屋に来てよ』っていう合図。
初めてきみの部屋に足を踏み入れてから、ずっとそう。
きっかけは、いつも、ゆかちゃん、だ。
どっか、無意識上に存在する、ゆかちゃんとのっちの境界線。
超えられるかどうかは、きみ次第。
たとえ超えられても、時が来れば、また定位置に戻るんだ。
マネージャーとアイドル。
「おじゃまします」
久しぶりに踏み入れるきみの領域。ドキドキと安心感が交差する。
「ねぇ、なんか作ってよ」
「あぁ、、、じゃ、カレ「カレー以外で、ね」・・・
カレー案。華麗に一蹴。・・・ま、この前も、カレーでしたから・・
「んー・・じゃぁ、、、、
「ピザでも取ろう?」
「ん、、あ、はい」
「のっちだって、疲れてるでしょ?いいよ、ムリして作らなくてもw」
「いや、でも・・
なんでもいいなら、作るよ?だって、のっちにはそれくらいしかできん。
「んーん、いい。それに、のっちいないと、なかなかピザとか頼めんし」
あぁ、うちがバレても困るからなぁ・・
「じゃ、ピザ頼みますね」
「・・・のっち?」
「はい?」
「…んーん、、、なんもない・・・」
遅い夕食をとり、お風呂に入り、くつろぐ。
ごくごくありふれた光景だと言えば、そうだと思う。けど、二人の関係を考えれば、奇妙な光景にも思う。
お風呂あがり。彼女の黒髪を丁寧に乾かすのが、のっちの役目。幸福の時間。
きみは、いつも髪が乾きあがるころには、うとうとし始める。
いつか言ってたよね?髪を触られるの、心地いいって。
「…はい、乾きましたよ?もう、寝ますか?」
「・・・のっち?」
「はい?」
「…さっきから、話し方、いつもと変わってないよ?」
「あぁ・・・」
この部屋では、“ゆかの部屋”では、他人行儀にしないで?
これが、彼女の願い。
忘れてるわけじゃなけど、なかなか普段のクセは抜けない。
「あ、ごめん」
「んーん・・・」
「もう寝る?」
「うん・・今日は、なんかすっごく疲れたや」
「そだね」
「・・・抱っこしてよ」
振り向き、上目遣いで見上げてくる彼女は最強。
「うん」
顔、にやけてないかな?華奢な彼女の体を抱え、ベッドへとはこぶ。
それが自然の流れのように、同じベッドに潜り込む。
のっちの右腕にちょこんと頭をのっけるゆかちゃん。
そっと、左腕で彼女を包み込んで、抱き合って眠る。
のっちの胸元にぐっと顔を寄せるきみ。
「のっち、、、大好き、だよ」
「うん、、のっちも大好きだよ、、ゆか…」
そっと口づけをかわし
ぎゅっと、ぎゅっと、、、これでもかってくらい強く抱きしめあって眠る。
ほんど、大好きなんだ。誰よりも、大切な存在。
ずっと守りたい。このキモチに嘘はない。・・・でも、この感情はなんなのか、正直自分でもよくわからない。
互いに、大切に想うキモチは、たしかなもの。
抱きあう、キスもする。・・・けど、それだけ、なんだ。
一度そんな雰囲気になったけど、拒んだ。
彼女に、同じことを繰り返させてはいけないと思ったから。
それに。。。彼女がほんとに、自分のことを求めてるのか、、、、そこが、、、、未だにわかんないから。
傷つけたくない。涙なんて見たくないんだ・・・だって、きみの笑顔は最高なんだもん。
求め合ってんのに、二人の関係が、きみの過去が
うっすらと、、けれど、確実に影を落とし、最後の一歩を踏み出させてはくれない。
マネージャー以上、恋人未満。
ベクトルの向かう先は、どこだろう?・・・きみにとって、必要なのは、どっちなのかな?
最終更新:2009年08月22日 20:44