アットウィキロゴ
※微er


「あ〜ちゃん」
「ぅひゃ!」
突然耳元に掛かる吐息と声にびっくりして振り返ると、そこにはしたり顔のゆかちゃんが立っていた。

「にへへ、かわいー」
「な…なに、するん…」
「ごめんね、だって耳出したあ〜ちゃん可愛いんだもん。あ、しかもふにふに」
「ちょ、ま、」
ゆかちゃんの細い指があっつい耳に触れてくる。

その少し低い体温に刺激されて、体が思わずぴくりと反応してしまう。
「…っ」
「…きもちぃ?」
柔らかく優しく妖しく弄られて、だんだんと体から力が抜けていく。流されていく。
いくら周りに人がいないとはいえ、このままじゃ完全に意識が白濁しちゃうのはマズイ。


「ふ、っ…」
「ねぇ、ゆかの事、すき?」
目の前にあるのは、昨日見たあの微笑みじゃなかった。

どこか寂しそうな影を纏った瞳が揺れている。


「…す…き、」


熱い吐息と共に吐き出した言葉に、ゆかちゃんは安心したように小さく笑った。








大学からの帰り道。
ゆかちゃんと繋がる右手の体温に少しどきどきしながら歩いていると、ゆかちゃんの携帯の着信音が響いた。



「はーい、ってなんだのっちか。今ねぇ…え、聞きたくない?じゃ帰ってから言うけぇ…えー、いらんー?そんな遠慮せんでも…え、迷惑?」
なんて、のっちと適度に話を交わしたゆかちゃんは、溜め息混じりに電源ボタンを押した。

「もー、ゆかは子供じゃないってば」
「のっちになんか言われたの?」
「あれ、のっちの事知ってた?」
「ううん。今日初めて会ったから」
「そうなんだ」
さっきまでぷくっと膨れっつらだったゆかちゃんが、不意に柔らかく笑った。
「…じゃあ、のっちと話してみて、ちょっとでもゆかに似てるなーってとこあった?」
「へ…?」
言われた意味が分からなくて間抜けた声を出すと。

「昔ちょっとだけだけど、うちら姉妹だったんよ」

そう言って、ゆかちゃんは小さく微笑んだ。


  • 続く-






最終更新:2009年08月22日 21:09