Side A
ゆかちゃんを見送って戻ると、のっちが何か言いたそうな顔をしていた。
「なに?」
「え、いや、何でもないです。」
慌てたように残りのご飯を食べだすのっち。
何よ。気になるじゃん…。
「…のっち今日バイトは?」
「う?お昼からだよ?」
「そっか。」
あたしもお昼からの講義なんだけど。
けど?なに?
ダメでしょ。
「あ〜ちゃんは?」
「あたしも午後から。」
「え。マジで?」
目を輝かせる彼女に少し期待する自分はズルイ。
「うん。」
「あ、でもダメか。あたし一回帰らないとだから…。あぁw折角一緒に行けるかと思ったのにw」
「ふふw残念でした〜。」
あたしは笑いながら自分の食器を持ってそこから離れる。
あたしが洗い物をしているとお皿を持ったのっちがやってきた。
「あ〜ちゃんごちそうさまぁ。美味しかったぁ♪」
「ホント?良かった。お皿そこに置いておいて貰える?」
「うん。」
のっちとの距離が近い。
普通にって思えば思うほど意識していくのが分かる。
「あ〜ちゃん。あの、昨日なんだけど…。」
近くにあった椅子にすっわって話し出すのっち。
昨日…。ってアノ話?
「昨日?」
わざととぼけたような返事をする。
「あ、うん。その、酔ってたとはいえ急にあんなことしちゃって、困らせちゃったんじゃないかと思って…ごめん。」
謝らないでよ…。
謝らなきゃなのはあたしだから。
彼を忘れられなくて、のっちに『好き』って伝えられないあたしだから。
「あぁ、平気だよぉwのっち酔ってたし、別に気にしてないから。」
平気な振りをして、こんなことしか言えないあたしだから。
Side N
昨日のことが気になってて、謝ってみたら、とりあえず困らせてなかったみたいで良かった。
でも、気にしてないって言われて。ちょっと寂しい…。
まぁ、なんてったって、やっと『友達』に昇格したばっかりだし?こんなものか?
この日から大学でのあ〜ちゃんは、徐々に輝きを取り戻し始めていた。
あたしはそれが嬉しくて、それで満足しちゃって。
時々向けられるあ〜ちゃんの眼差しに。
言葉に出来ないあ〜ちゃんの想いに気付いてあげられなかった。
まったく、やっぱあたしもあの人のこと言えないね。
そして季節は、秋の終わりを迎えようとしている。
—つづく—
最終更新:2009年08月22日 21:39