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Side K
あ〜ちゃんの光が戻ってきた。
それは凄く嬉しくて、のっちにいっぱい感謝した。
のっちは何もしてないって言ったけど、きっかけはのっちであることは確実だから。

だけど、何かスッキリしないのは、時々家で見るあ〜ちゃんの泣きそうな表情。
それも決まって私に『好き』って言う時。
のっちを想って言ってるのを知ってる。

でもそれをあ〜ちゃんからは言ってくれない。
自分でなんとかしようって、もがいてる。

ずっと気付かない振りしてようと思ったけど、もう無理。
だってさ、あ〜ちゃん泣いてるじゃん。

あ〜ちゃんの瞳から流れる涙を親指で拭って、あ〜ちゃんを呼ぶ。
顔を上げたあ〜ちゃんに
「何で泣いてるか、言いたくない?」
「…言えないけど…。」
「けど?」
「たぶん、ゆかちゃんは知ってるんでしょ?」

「まぁ、たぶん…。」
なんだ、あ〜ちゃんも気付いてたんだ。
じゃあ、『好き』って言うのはあ〜ちゃんなりに甘えててくれたってことなんだ。
そう思ったら、少し安心した。でも…。
「でも、私はあ〜ちゃんから聞きたい。」

あ〜ちゃんの瞳はずっと、ゆらゆらと揺れている。



そっと伏せられた瞼。
そっと深呼吸をして。
そっと開かれた瞼。

「あたし、まだ、彼のことが『好き』なの…。」
「うん。」
「なのに、のっちのことも、『好き』になっちゃって…。」
「うん。」
「ちゃんと、気持ち整理してから、のっちに伝えようと思って…。」
「うん。」
「でも…っ。」
あ〜ちゃんの想いが溢れる。

「どぅやっても、彼を『好き』な気持ち、なくなってくれなくてぇっ。」
涙と一緒に、溜め込んでいた気持ちを溢していくあ〜ちゃん。
「のっちと一緒に居て、のっちでいっぱいにしようとしても、彼のことも思い出して、ダメなの…。」

「あ〜ちゃん…。」
私はただあ〜ちゃんを抱きしめてあげることしか出来ない。
あの人を想う気持ちを無くすことなんて、誰にも出来ないよ…。
のっちにだってきっと無理だ。

私の腕の中で肩を震わせながら泣くあ〜ちゃん。

たぶんのっちは、あ〜ちゃんがあの人を好きなままでも気にしないと思う。
そのままのあ〜ちゃんを好きになったから。
でも、あ〜ちゃん自身がそれを許さない。



あ〜ちゃんは素直じゃないとこがあるけど、気持ちはいつだって真っ直ぐ。
だから、のっちだけに想いを向けたいんだよね?
でも、今はそれが出来ないでいる。

「本当はのっちに『好き』って言いたいんでしょ?」
「…ぅ。言い、たい。けど、言えないよぉぅ。」
だったら今は…。

「なら、私が代わりに聞いてあげるから。なんだって受け入れるから…、我慢、しないで。」
今あ〜ちゃんを守る方法、これしか浮かばないから。

「で、でも…。」
戸惑うあ〜ちゃん。
「良いからほら。言って?」

「ゆか、ちゃん…ごめんね?」
ぎゅっとあ〜ちゃんの手が、私の服を握り締めた。
なんか、前にも似たようなことあったな…。

「あ〜ちゃん『好き』でしょ?」
「…ぅん。『好き』。のっちが大好き…。」
あれって、あの人が亡くなった時だっけか…?
あの時は、泣けなかったんだっけ。

「好きだよ。…大好き。」
こんなに二人のこと好きなのに…。

まったく、あの人ものっちも。
どれだけあ〜ちゃん泣かせたら気がすむわけ?

ちゃんと、責任取ってよね。


—つづく—





最終更新:2009年08月22日 21:53