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《過去》


サイドN


『ねぇ、ばれちゃった、、』
当たり前みたいな顔をして、呼んでもないのに勝手に家にくる彼女に開口一番言ってみたら、
『ふーん。そう?』
返事はあっさりしたもんだった。
『ちょっ!それだけ?』
思わずつっこむと、
『ん?うん。』
本当にそれだけだった。
『ちょっと!大丈夫?とかさ、ないの?』


『ばれるのが嫌だったなら、ばれないようにすればよかっただけだし、それでも嫌だったら、やめればよかっただけのことじゃん。』
優しい口調で言ってくるけど言ってること、また全然優しくないよ、ゆかちゃん。


『・・・でも、ごめん。のっちがやめられないの知ってた。』
チロッと舌を出して、ペコッて頭を下げたゆかちゃん。
『いや、ごめん。のっちの問題だった、、。』
ごめん。ゆかちゃんに解決してもらおうだなんて、間違いまくってるよね。



『ねぇ?ゆか、本気だよ?』



いつもと変わらない優しい顔で、まるで何でもないような会話をするみたいにサラッと言い放った言葉。
紙で指を切った時みたく、初めは気付きもしないのに、だんだんビリビリすると思ったら血が出てた。かしゆかって紙で出来てたんだ?なんて。
心がドキドキ鳴った。


かしゆかが遊びで寝るような子じゃないことも知ってた。
この関係になってから夜遊びもしてないことも知ってた。

『うん。知ってる。』

抱き締めたのは、間違いなくのっちの腕。
初めからこうなるって、誰が知ってた?



《過去》


サイドA


『無理しないで?』
聞きたかったのはその口からじゃない。
『我慢しなくていいよ。』
その口じゃないんよ。
『辛い?』
違うのに、何で、、、
『俺ならそんなおもいさせない。』
その口を求めてしまうの?


わかりたくないのに、わかっちゃうのは、彼女にも少し似た正直で真っすぐな言葉が心の中に溶け込むから。
真っすぐな目には、私しか映ってなくて。少し前まではのっちもそうだったよね?思い過ごしじゃないはず、、だといいけどな。


『もうやめよ?俺にしなよ。』
なんて真っすぐな人だろう。
『ちゃんと、正式に俺んとこきてよ。』
なんてはっきりした人だろう。
『あ〜ちゃんがかわいそうだよ、、。』
なんでそんなこと言うんよ?
かわいそうだなんて思われたくない。同情なんかされたくない。
『もっと幸せになるべきだよ。』
あ、そうゆうことか。
でもね?のっちがあんなんだから、どうやらあ〜ちゃんにはそれ、難しいみたいよ。
『だから俺がする。』
あ、そっか。
のっちじゃなければ、そう、なれるの?


伸びてくる腕の優しさを拒むすべを私は知らない。
それは、ゆかちゃんの優しさを拒めないのっちと一緒だよ。
“優しさ”なんだもん。
拒む気なんかないのかもね。お互い。





最終更新:2009年08月22日 22:00