Side A
ゆかちゃんにのっちのことを話してから数日。
ゆかちゃんが分かってくれているというだけで、少し安心する。
のっちも変わらずに優しい。
のっちのお陰で、距離をとっていた友達ともまた一緒に居られるようになったし。
確かに失うことは恐いけれど。
一緒に居られることって、幸せなんだなって思えたから。
だから、大切にしていかなくちゃいけないって。
のっちの誕生日に、のっちの嬉しそうな顔を見て、そう思ったから。
今日ものっちに会いに図書館へ来たけど…。
あれ?のっちの姿が見えない。
あ…。そういえば今日は休みって言ってたっけ。
ま、いっか。
そう思って後ろを振り返ると。
「やほーw」
手を振るのっち。
やっぱり来てくれた。
のっちと出会ってから、のっちはバイトの日じゃなくても毎日来ていた。
ホントこういうところはマメだよね。
「あ〜ちゃん講義は?」
「今日はもう終わり。」
「お、そっか。」
Side N
まるで謎かけみたいなゆかちゃんからのお願い。
あ〜ちゃんが彷徨っている迷路。
あたしがそこから抜け出すカギを持っている…らしい。
もしかして、あたしがあの人に似てるからなのかな?
とりあえず分かったのは。
あ〜ちゃんに好きな人ができた。ということ。
だから、あの人への気持ちを消そうとしてるんだと思うから。
まぁ、まだ本人に確認してないから…。
今日はその確認をしようかと。
今日は休みだけど、図書館に行くのはあ〜ちゃんと会った日から日課になっている。
図書館へと歩いていくと、見慣れた後姿。
あ〜ちゃんだw
あ〜ちゃんに声を掛けると手を振って応えてくれる。
今日はもう講義がないみたいだから、今日はちょっと外でおしゃべり。
天気が良いから、10月の終わりでも暖かい。
「あの〜さ。」
「ん?」
「その〜…。」
やっぱり聞きにくい。
「どうしたの?」
クスクスっと笑って覗き込んでくるあ〜ちゃん。
聞かなくちゃ手助けもできない…。
「…あ〜ちゃんもしかして、『好き』な人できた?」
突然の質問に固まるあ〜ちゃん。
やば。いきなり過ぎた?
「なんで?」
ふっと笑って、逆に質問してきたあ〜ちゃん。
「えっと、なんとなく?」
指輪を見つけたとは言えずに、疑問形になってしまた。
「そっか…。うん、できちゃった…『好き』な人。」
ハニカミ笑いが可愛かった。
正解…かぁ。
「何か、出来ることある?なんだってするよ?」
あ〜ちゃんが幸せになれるなら。
「何でも?」
「うん、何でも!」
「じゃぁ〜…。」
少し考えて
「ずっと、側にいてくれる?」
「え?そんなんで良いの?」
てか、あたしで良いの?
「ぅん。」
「ホントに?もっとこう、ハプニング的なこととか、その人と一緒にどっか行ったりとか、その人にあ〜ちゃんのこと宣伝したりとかぁ。」
「宣伝?」
「あ〜ちゃんの良いトコいっぱい聞かせてあげるよ!」
「あはw何それ?」
「ぁ、ぃや〜、その、なんだ〜?」
言ってる自分が恥ずかしくなってきた…。
「ふふwいいよ。そんなコトしなくても。」
あ〜ちゃんのクスクスという笑いが止まった。
「のっちは、側に居てくれるだけで良いの。それでがんばれるから。」
あ〜ちゃんの瞳が揺れた。
「ん。分かった。」
だから、それしか言えなかった。
あ〜ちゃんには笑ってて欲しいから。
微笑むあ〜ちゃんの「ありがとう。」
それはすごく温かいありがとうだった。
Side A
側に居てほしい…なんて。
我侭にも程があるよね?
でも、もう少し時間を下さい。
きっと、言える日がくると思うから。
それまで、待ってくれますか?
—つづく—
最終更新:2009年08月22日 22:03