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大学4年の9月のある日。
夏が過ぎたとは思えないほど蒸し暑い日。今日から教育実習が始まる。
教師になりたいから実習は楽しみなんだけどさ。正直、憂鬱だった。


理由は簡単。
あ〜ちゃんと会う時間が減るから。
あ〜ちゃんと付き合い始めて4ヶ月。もう、ずっと好きだった。私なんかには手の届かない存在だと思ってた。だから、4ヶ月経った今でも夢見心地だった。
実習が終わるまで2週間。朝早くから学校行って、家に帰ったら報告書とか書いてさ。2週間も我慢できないよ。
まぁ、でも、会いたくなったらあ〜ちゃんに家に来てもらえばいいか。



実習する高校に着き、担当するクラスに挨拶をしに行く。
ここはいかにもお嬢様学校って感じの高校。可愛らしい子はいっぱいいるけどさ。みんな、あ〜ちゃんには敵わないね。
挨拶を終えて、そのまま授業を始めた。
そりゃまぁ、初めてだからさ。もう、テンパるよね。めちゃくちゃ過ぎて授業になってなかったし、噛みまくって生徒には笑われるし。先が思いやられるよ…。
午後からの授業は1週間後にやる体育祭の練習だった。
毎年この時期に合わせて実習をやってるらしいんだけどさ。わざわざ、合わせる必要ないよね。普通の授業だけでも大変なのに。しかも、あんまり行事ごとって好きじゃないし。
まぁ、教師になりたいって言ってるのに行事好きじゃないとか言ってる場合じゃないよね。
ちゃんと、頑張らないと。




練習をしていると、張り切り過ぎておもいっきりこけた。膝も擦り剥くし。生徒には笑われるし。慣れない事はするもんじゃないな。
保健室に行くと、担当の先生はないかった。
ただ、ソファーで横になっている子が一人。制服を着ているから、恐らく、ここの生徒。
具合悪いのかなと思い顔を覗く。
キレイな黒髪をしたその子を見た瞬間、心臓が早くなったのがわかった。もう、心臓の音しか聞こえない。


前にも同じ事があった。それはあ〜ちゃんを初めて見たとき。好きだって思ったとき。
静かに眠るその子に見とれながら、私は困惑していた。
あ〜ちゃん以外の人にドキドキするなんて、今までなかったのに…。
これってどうゆう事なの?まさか、一目惚れとかじゃないよね?いや、それはないよ。だって、私にはあ〜ちゃんだけだし。
じゃ、これは何?分からない…。


「あら、大本先生どうしました?」
担当の先生の声に意識が戻された。
「あぁ…。擦り剥いたんで絆創膏を貰いに…。」
「そうですか。消毒するんで座って下さい。」
「はい。」
「…もう大丈夫ですよ。あ、樫野さん。いつまで、ここにいるの。もう授業始まってるわよ。」
…あの子は樫野って言うんだ。樫野…確か、うちのクラスにもいたようなぁ…。
「んー…。もうちょっとだけいいじゃん…。」
「ダメよ。ほら、早く戻りなさい。」
「はーい。」
…サボりか。あの子は何処のクラスの子だろう。
出来れば、また会いたい…。



一日目の実習が終わって、家で報告書を書く。
あ〜ちゃんから明日家に来るとメールが着てた。
今日じゃなくて良かったかも。
今日は樫野さんって人が気になる。頭から離れないんだ。
明日、会えるだろうか。



つづく






最終更新:2009年08月22日 22:36