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学校が始まった。
久々に学校に行ったら、ある男の子と仲良くなった。

山崎君といって、お世辞にもイケメンとは言えないけど、話してると面白い人。
「西脇さん、おはよう。課題やってきた?」
「あっ、山崎君。おはよう。やったよ〜、おかげで四時間しか寝とらんw」
「勝った!僕、三時間しか寝てない」
「えーwそこ、競う所?それと、あ〜ちゃんって呼んでええよ?なんか、苗字で呼ばれると、こそばゆいんよねw」
「えっ!呼んでいいの?だったら、僕の事も山ちゃんでいいよ?」
「山ちゃん?」
「うん」

「あ〜ちゃん!!」
これは山ちゃんがあたしを呼んだんじゃなく、なせがイラっとしてるのっちの声。
「なに?」
「・・・100円貸して」
「なんで?」
「ジュース買うから」
「はい」
のっちに100円を差し出す。

「・・・やっぱ、いらん」
「は?」
のっちはハノ字眉・・・じゃなく、への字口になって、スタスタとあたしを置いて校舎の中へ入っていってしまった。

「あ〜ちゃんって、大本さんと仲いいんだね」
「あー・・・うん。そうじゃけぇ」
「大本さんって、あんまり良い噂聞かないから。あ〜ちゃん気を付けてね」
「山ちゃん・・・。それってどういうコト?」
「あっ、ごめん。だって大本さんに酷い目に合わさせた子が結構いるって聞いたことあるからさ・・・」
「のっちはそういう事もう止めたんじゃけぇ!!」
「あっ、ごめん。友達の事そういう風に言われると怒るよね。ほんと、ごめん」
「ううん。あ〜ちゃんもちょっと言い過ぎちゃった。ごめんね」
「あはは。僕たち謝ってばっかだねw」
「あっ、ほんまじゃw」



お昼時間。
いつもならどこからともなくのっちがフラッと、あたしの前に現れるのに今日は来なかった。
仕方なくあたしはのっちを探す旅に出る。
でも大抵の居場所はわかる。
今日はいつもより暖かいからきっとあそこだ。

中庭に行こうとしたら、山ちゃんに声を掛けられた。
「あ〜ちゃん。お昼食べた?」
「ううん。今からじゃけぇ」
「よかったら、一緒に食べない?さっきやった問題ちょっと教えてもらいたい所もあるし」
「うーん・・・」
脳裏にのっちの事がよぎった。

「のっちも誘って三人でええ?」
「・・・うん。いいよ」
「じゃあ、のっち探してくるから先食堂行ってて?」
「僕も一緒に探すよ」
あたしは山ちゃんとのっちを探しに中庭に向かった。

やっぱりいた。
のっちは中庭のベンチに胡坐をかいてPSPをいじっている。
「のっちーーー!!」
あたしは手を振って呼んだ。
「あ〜ちゃん!!・・・」
のっちはあたしたちを見ると、さっきと同じくヘの字口になった。

「お昼まだでしょ?一緒に食べよ?山ちゃんも一緒でええ?」
「一緒に?」
のっちは山ちゃんをチラっと見て、ちょっと嫌そうな雰囲気をかもし出してる。

「ダメかな?」
あたしは山ちゃんに気を使いながら、もう一度のっちに訊いた。
「あー・・・今日は他の子と食べることになってたんだよね」
そう言って、あたしと一度も目を合わさずに、のっちはどこかに消えてしまった。

「なんか、僕嫌われちゃったみたい?w」
「あ・・・ごめん。のっちって、人見知りするところあるから・・・」
あたしは仕方なく山ちゃんとふたりでお昼を取ることになった。



混雑した中の食堂で消えたのっちを見かけた。
一緒に居るのは、スレンダー美女。

なんか妙にイチャイチャしてない?
ちょっと・・・体くっつきすぎじゃない?
ここ、食堂なんですけど。
あっ、のっちが美女に耳打ちしてる。
そんで美女がすごく照れてる。
なに?のっち何言ったの?
えっ?席立ってどこいくの?
あっ、のっちと目が合った。
うそ、ノーリアクション!?
てか、手なんて繋いじゃって、どこ行くのよ!

「・・・なんだけど、わかる?」
「・・・えっ!?あっ、ごめん。もう一回言って」
山ちゃんに話しかけられてるのを気付かずにあたしは、のっちの事を目で追っかけていた。

それから校内にはのっちの姿は見かけなかった。
いつもなら、あたしの隣で座って居眠りの時間のはずなのに。
今日は、あたしの隣には座っていない。
寂しいな・・・。
あたしの事飽きちゃったのかな・・・。

あたしは不安と憂鬱な気分でアパートへ帰った。
バイト帰りだから時刻は夜の8時過ぎ。
部屋に明かりが灯ってる。
のっちが中にいる証拠だ。
それを見てホッする。

「ただいま!」
あたしは元気よく玄関を開けたけど、いつもみたいに出迎えはナシ。
中を覗くとのっちは寝そべってまたPSPをいじってる。
「のっち、ただいま!!」
あたしはもう一度大きな声で言う。
「んー、おかえり」
のっちは目線を一度もあたしに向けずに、めんどくさそうに答えるだけ。



なんか変だ。
学校が始まってから、のっちの様子が変だ。
変っていったらいつも変だけど。
いつも以上に変だ。
なんていうか、よそよそしくなった気がする。

あたし・・・のっちになにかしちゃったの?
うーん、これと言って思いつかんのよね。

「ねー、のっ「ちょっと、出かけてくるわ」
のっちに声を掛けようとしたら、掻き消された。
「出かけるって、今から?コンビニ?」
「違う。今日は帰ってこないかもしれん。じゃあね」
のっちはPSPをテーブルに置いて、財布と携帯とコートを無造作に掴んで出て行ってしまった。
またあたしとは一度も目を合わさずに急いで出て行ってしまった。

この日からまたのっちの夜遊びが再開された。
あたしは何がなんだかわからず、ひとり置いてけぼりにされた気分だった。






最終更新:2009年08月22日 22:43