Side A
のっちと帰りのバスの中。
「なんか降ってきそうだね?」
バスの窓から空を見上げると、真っ黒い雲が覆っている。
「ホントだ。」
「家に帰るまでもってくれないかな〜。」
「のっち傘持ってないんだっけ?」
「そうなんだよぅ。」
「だったらまたあたしの傘に入れてってあげるよ?」
あげる。なんて、本当は自分がそうして欲しいのにな。
でも、そんな言葉にも、のっちは気にせずに答えてくれる。
「良いの?」
「でしょw」
「なんか、いっつもありがとう。」
「そんなことないよ。あたしの方こそ…。」
ありがとう。
言い掛けたところで
「あ、雨。」
のっちが外を見上げながら呟いた。
と、同時にバス停にバスが止まった。
バスを降りて傘を差すと体がブルブルっと震えた。
雨が降るとこの季節はまだ寒いな…。
「ね、あ〜ちゃん。ちょっと向こう良い?」
「ん?良いよ?」
のっちの指差した方へ歩いていく。
辿り着いたのは自動販売機。
「あ、あったあったw」
ピッ
ガタガタ
「キタキタwよっと。」
のっちが取り出し口から出したのは…
「ハイ、どうぞ。」
温かいミルクティー。
「え、あたしに?」
「うん。傘入れてもらうお礼に。それに、さっき寒そうだったしw」
…もぅ、なんで、そんなに優しいのさ。
「…ありがとう。」
そう言ってあたしがミルクティーを受け取ると、のっちが換わりに傘を持ってくれる。
あきらめたいのに…。
もっと好きになっちゃうじゃん。
二人一つの傘で、家までの道を歩き出して思い出すのは、のっちに初めて声を掛けた時のこと。
あの時は嬉しすぎて、腕なんて組んじゃったけど。
今のあたしには、到底出来ないなw
でも、やっぱりのっちの肩が出来るだけ濡れないように、のっちの服の肘あたりを摘んでのっちに寄ってみた。
「のっちも飲む?ミルクティー。」
「ん?ん、じゃ…一口。」
缶をのっちに渡すと、一瞬ためらったみたいに止まってから、グイッと一口くちにした。
「ぅん、温かくて、甘くって、おいひぃw」
のっち?あたしにしてみたら、のっちも温かくて、甘いんだよ?
「へへwあ〜ちゃん、傘ありがとう。」
「ん〜ん。あたしこそ、ごちそう様。」
のっちのマンションの前で手を振って別れる。
夜になって、寝る前に今日のことを思い出す。
きっと、ミルクティーを見るたびに、今日の事を思い出すんだろうな…。
あたしが公園で泣いた日から、のっちは一段と優しくて、側で笑ってくれる。
でもそれは、あたしが辛い恋をしてることを知ってるからなのかな?
泣き虫なトコ
よくしゃべるトコ
素直じゃないトコ
嫌いじゃないかな?
のっちを好きでいるコト
ダメじゃ、、ないかな?
のっちの事を想うと、なかなか眠れないけど。
毎晩、夢でも会えないかなって願いながら、布団に入るんだよ?
そしたら、手を繋いだりしても平気でしょ?
腕を組んで歩いても平気でしょ?
好き…って言っても平気、でしょ?
でも、そう簡単には出てきてはくれなくて…。
だからもしも、夢で会えたら、嬉しすぎて泣いちゃうかもw
のっち…
どうしよう?
まだ
あたしの心全部
ねぇ、のっち?
あなたのモノなんだよ?
あなただけの…
叶わないって知っているけど…
いつかあなたに愛される事を夢みてるんだよ?
あのミルクティーみたいに
温かくて、甘い
そんな二人を
夢みてるよ
のっちを
愛したいよ…
最終更新:2009年08月22日 22:47