家庭科の課題を済ませるためにあたしが探していたのは、母子健康手帳。
それなのに見つかったのは、樫野家の家系図。
興味本位で開いた。
「うわぁ・・・ すっごい..。」
書いてあってもちょっと前くらいからだろうと思っていたら大間違い。
もう何十代と続く家計だったようだ。しかも結構細かく記録されている。
一番下がお兄ちゃんとあたし。その上にお父さんとお母さん。その上におじいちゃんとおばあちゃん。その上にひいおじいちゃんとひいおばあちゃん。分かるのはせいぜいそのあたりまでだ。
なんだか気になって、何代も遡って見ていくと、そこには見慣れた名前があった。
「『有香』 あたしといっしょ・・・?」
ホコリまみれの上の方を軽く指で拭い、その名前をそっとなぞってみた。
『香』の文字から指を離したその瞬間、目の前が急に真っ白になり、あたしは意識を失った。
「・・・んぅ
「大丈夫?有香?水でも持って来た方がいいのかしら?」
意識がだんだんとはっきりしてくる。
妙に息苦しい。体が熱い。
額に当たっているのは誰かの手。柔らかくて優しい温度。
あたし、この手を知ってる・・・
目を開けようとするけど、太陽が眩しくてちゃんと見えないや。
「有香?もう平気なのですか?無理をしてはいけませんよ?」
あぁ、この声。この手。あやちゃんだ。でも何?この口調。ただ単に声が似てるだけ?
もう一度目を開けようとする。今度は誰かが覗き込んだおかげでできた陰ですんなり目が開いた。
目の前にいるのは、着物?十二単って言うんだっけ?
そんなのを着た、あやちゃんにそっくりな女の人だった。
格好は違うし、髪だってゆるふわパーマではなく、床につきそうなほどの長くて真っ直ぐな髪。
なのにその人はあやちゃんと同じ、優しい目をして、少し困ったように微笑んだ。
「有香?返事をして。」
「あ・・・ あ、、、ちゃ ・・・ん?」
「よかった。暑さにやられてしまったのね。彩華、有香をしばらく休ませておいてちょうだい。」
「わかりました。綾香様。」
ちゃあぽん? ってゆーか綾香様ってなに? 私はわけも分からずに布団に運ばれる。
あぁ、でもなんかわかったかも。これは歴史の資料集で見た、平安時代の寝室?
もしかして、あたしタイムスリップしてる?
00.Prologue おしまい 続く。
最終更新:2009年08月22日 22:53