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数日経って、日に日に私は樫野さんの事が気になっていった。
他愛も無い話をして、毎日自分の中で樫野さんの情報が更新される。
だけど、気になっている事は確かなんだけど、認めたくなかった。
だって、認めてしまったらあ〜ちゃんはどうなるんだよ。
私とあ〜ちゃんは付き合ってるんだよ。私にはあ〜ちゃんだけなんだよ。
あ〜ちゃんはさ、あんまり気持ちを伝えてくれることはないけど、私の事を想ってくれてるのは確かでさ。そんなあ〜ちゃんを裏切る事なんて絶対出来ない。




体育祭前日の放課後。
日も暮れて、生徒が少なくなった頃、私は一人校庭の端にある倉庫で明日使う用具の整備をしていた。
「先生。」
「ん?あぁ、樫野さん、どうしたの?」
樫野さんだった。心拍数が一気に上がる。さとられないように、平静を装う。
「今何やってるのかなぁって思ってさ。…ねぇ、先生?」
「んー?」
「先生ってさ、授業中いつもゆかの事見てるよね。なんで?」
そう。私はいつも無意識に樫野さんの事を見ていた。そして、それは気付かれていた。
「それは…。」
私が何も答えられないでいると、
「ゆか、知ってるよ。ゆかの事気になるんでしょ?」
「…え!いや、それは…。」
そこまで気付かれてたなんて…。





「実習生が生徒に手出すなんて許されないよね。」
「…。」
その通りだ…。
いや、でも、私はあ〜ちゃんだけなんだから。
「でも…。ゆか、先生だったら何されてもいいよ。」
何されてもって何もしないよ!そんな事できる訳ないじゃん!
「先生。…キスしようか。」
「え…、ん!?」
返事をする間も与えられず、キスされてしまった。
突き放そうとしたけど出来なかった。いや、拒まなかっただけなんだ。私は心の何処かでそうなる事を望んでたんだ。
あ〜ちゃん以外の人とキスするなんて。
最低だ。なのに、私は樫野さんとのキスに夢中になった。キスすればするほど、私を高揚させた。
きっと、この暑さのせいだ。この暑さのせいにしよう。


すると、倉庫の扉が開く音がした。急いで止めて扉の方を見ると、担当の先生だった。
「大本先生、終わった?」
「あ、…は、はい。もう終わります!」
「そうか。あれ?樫野さん?どうしたの?」
「大本先生の手伝いしてたんです。」
「なるほどね。でも、もう遅いから帰るんだよ。」
「はい、わかりました。」
「じゃ、大本先生、整備終わったら倉庫の戸締りよろしくお願いしますよ。」
「あ、はい。」
見られてたらと思うと恐ろしい…。でも、見られてなかったみたいだし、よかった…。
「先生。」
「え?あぁ、…何?」
「続き、また、今度ね。」
そう言うと樫野さんは帰って行った。
あれは誘ってるの?続きって…。これ以上は絶対ダメだよ。
だって、私にはあ〜ちゃんが…。
…段々、自分の気持ちが分からなくなってきた…。




つづく





最終更新:2009年08月22日 23:01