Side A
のっちに告白した日から約一ヶ月。
外の空気はすっかり冷たくて、冬が始まっている。
今日は午後から、のっちとお出掛けの予定だったのに…。
途中から突然の大雨で、只今のっちの部屋に避難中。
「うわぁw結構濡れちゃったねw」
二人分のバスタオルと着替えを手に戻ってくるのっち。
「今日降るって言ってなかったのにね?」
「ホントだよー。あ、コレあたしんだけど、濡れたままじゃ風邪引くし、着て?」
「うん。ありがと。」
「あとハンガーも、ハイ。あたし、向こうで着替えてくるから。」
そう言ってのっちは別の場所へ移動する。
実はのっちの部屋に来たのは初めて。
少しだけ緊張する…。
部屋の中を眺めながら着替えていく。
まだあたしの知らないのっちがたくさん。
濡れた服を掛けて座っていると、さっき姿を消した戸から戻ってきたのっちの服装と自分のを思わず見比べてしまった。
「えへへwごめんね?こういうのって、ついつい似たようなの買っちゃってさwお揃いみたくなっちゃったね?」
ホント色が違うだけでペアルックみたいw
「別に嫌じゃないよ?」
むしろ嬉しい。なんて言えないけど…。
「ホント?なら良かった。」
「そういえば、のっちって漫画とかゲーム好きなの?」
本棚にずらっと並んでいる漫画本に、テーブルの上には携帯ゲーム機。
「うん!超好きw」
キラキラした笑顔で頷くのっち。
「のっち、男の子みたいw」
「え?うそ、マジで?」
今度は眉が垂れて、ちょっと情けない顔。
「うんwうちの弟と話し合うかも。」
「へぇ〜、あ〜ちゃん弟居るんだ?」
「居るよ?あと妹と3人兄弟。二人ともすっごい可愛いの♪」
「良いな〜、あたし一人っ子だから、そういうの楽しそう。」
「じゃあ、今度実家に遊びに来てよ。」
「良いの?」
「もちろんw」
「わっしょーいw」
嬉しそうにガッツポーズをとっているのっち。
こういう反応は見てると可愛いなw
彼もこういう反応して、年上なのに可愛いって思ったっけ。
雨が治まるまでしばらくと思ってたけど。
「止まないね…雨。」
「そうだね…。」
返事をしたのっちと一緒に窓の外を眺める。
〜♪〜♪
あたしの携帯が鳴る。
「あ、ちょっとごめん。」
「…もしもし?」
『あ〜ちゃん?今どこ?』
「のっちの家だよ?」
『ホント?良かった。じゃあさ、今日はそのまま泊まってきなよ。』
「え?」
突然の言葉に動揺する。
『私も今友達のとこでさ。雨が酷いから、泊まっていこうと思ってたんだ〜。だから、あ〜ちゃん一人だと心細いかなと思って。』
確かに、こんな雨の日に一人だと色々思い出しそうだな…。
「うん。ありがとう。じゃあ、そうしよっ、かな…。」
『大丈夫?』
って、ゆかちゃんお見通し過ぎw
「うん。…のっち居てくれるから。」
『だねwそれじゃ、またね?』
「うん。また明日。」
携帯を切ると
「もしかしてゆかちゃん?」
「うん。雨が酷いから、友達のトコに泊まるって。」
「へぇー、そっかぁ。じゃあ、あ〜ちゃん今日一人?」
「あ、だから、あたしものっちのコトに泊まっておいでよ…て。」
「うん、良いよ?お客さん用の布団もあるし。」
あたし結構ドキドキなのに、のっちは何でもないみたいに返事をしてきた。
「ちゃんと買っといて良かったよwそしてようやく陽の目を見たねwなんてったって、使うのはあ〜ちゃんが初!だもんね。」
嬉しそうに押入れから布団を出してきて、二組並べて敷いていく。
のっちが敷いてくれた布団に入って、電気を消してくれる。
「おやすみw」
「うん、おやすみ。」
…
……
…眠れない。
電気が消えてから、大分時間がたったけど、外の雨の音が気になって眠れない。
それに付け加えて、雷が遠くで鳴っている。
やだな…。
彼が事故に遭ったのも、こんな天気の日だった。
ゆかちゃんから電話が掛かってきて…急いで駆けつけたけど…間に合わなくて…。
あたしが意識を失っちゃったから、ちゃんとお別れも出来なかったね?
って、のっちが居てくれるのに、何考えてるんだろ…。
はぁ…
思わず溜息が漏れると
「…あ〜ちゃん眠れない?」
寝ているとばかり思っていたのっちの声にビックリして、のっちの方へ顔を向ける。
「のっちこそ、起きてたの?」
「うん、なんかね…あ〜ちゃん居て緊張してるのかもw」
仰向けのまま笑ってそう言ってくる。
「え?」
ちょっとドキッとした。
「な〜んてwそれもあるけど…こういう日はよく、あの人のことが浮かぶんだぁ。」
なんだ、のっちもそうなんだ。
「うん…あたしもだよ。」
「やっぱ、そうだよねw」
「だから、今日はあ〜ちゃんと一緒で良かった。」
こっちを見てニッて笑うのっち。
こんな雨の夜だけど、あたしものっちと一緒で良かった。
「ね…。」
「ん?」
「そっち、行っても、良い?」
のっちの顔を窺うように聞いてみる。
「へへwうん、来て欲しい。」
その言葉が嬉しくて、モソモソと照れたように笑うのっちの布団へと移動する。
移動するとすぐにグイッとのっちに抱き寄せられた。
「ひゃっw」
き、急だよぅw
「あ〜ちゃんあったかぁぃ。」
「の、のっちも温かい、よ?」
「ホント?」
「うん。」
至近距離でのっちと目が合う。
「良かった〜。人の体温て安心するよね。」
「うん、ほっとする。」
そこに居るって実感できるから。
「これなら、寝られそうw」
また、ニッて笑うのっち。
「あたしもw」
つられて笑う。
そしたら、さっきよりも抱き寄せられて、あたしの頭の上にのっちの顎が乗っかっている状態。
「あ〜ちゃん?」
「何?」
のっちはいつだって、優しくあたしの中の彼ごと、全部抱きしめてくれる。
「大好きだよ。」
それは、何度聞いてもあたしを幸せにする言葉。
「…あたしも、大好き…。」
言うのも、やっと慣れてきたんだよ?
のっちも幸せって、思ってくれたら良いな…。
最終更新:2009年09月03日 19:28