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《過去》


サイドN


いくら許そうと思っても、のっちの心はなかなかそれを受け入れてくれなかった。
頭の中で何度唱えても心にまでは入ってこないの。いつかもこんなことあったよな。
あぁそうか。あの時のっちが心であ〜ちゃんを想っていれば、こんなことにはならなくて済んだのに。
でもさ、あの時はしょうがなかったよ。だってかしゆか、笑うんだもん。
まるで、頭の中から心の中に移動する道のりを全面通行止めするようなそれに、あらがえなかった。
でもそんなのも、もう過去のこと。いくら反省したってもう、こんなことになっちゃった。
それに、今、もう、、彼女はいない。
あの時、半歩前にあった白くて大きな手はヒラヒラと、風に吹かれた薄い紙みたく空へと消えていった。
ゆかちゃんの泣き顔、見たくなかったな、、。
いつだって優しく笑っていてほしかった。


事実を受け止められない現実も、無理にでも心の中にねじ込もうとしてるけど、そのたびに思い出されるのは、
“証拠となる事実がない無実”
本当は何を想っていたのさ?
本当は何か言えたらよかった?
本当は、、
のっちのこと、、
本当は、、、
のっちに何を望んでいたの?


確信となる証拠も何一つ残さないで、するりと部屋から出ていくなんて。泥棒みたいじゃんか。
でも、のっちの心はちょっぴり痛いよ。
ゆかちゃん、それはもう無実の罪だよ。





《過去》


サイドA


許してよ、のっち。ねぇ、許して?
心の中で何度も何度も願ったから、ついに夢の中でも謝るようになった。
ちょっと情けないな。でも、仕方ない。
それでも私たちは二人でいなくちゃ。一人でなんかいられない。いたくない。
のっちもそうあるはずなのに、なのに何で指先は震えてばかりで、あ〜ちゃんに触れてこないんだろう?
あ〜ちゃん勘違いしてたかな?のっちは頭がいいから。でも単純だから。プラス優しいから。すぐ割り切って、距離を縮めてくれると思ってた。
そしてその方法は“抱き合う”ことが、一番早いことだって、知ってると思ってた。
いや、もしかしたら知ってはいるのかもしれない。
でも、ただ触れてこないだけかもしれない。


ねぇ、なんでよ、のっち。
部屋だっていつもグチャグチャ。細かいことは気にしないし、良くも悪くも適当だし、すっごいいい加減なくせに、、何いまさら潔癖ぶってんの?




『だから言ったでしょ?』
なんなんよ、もう。
やめてよ。出てこないで。夢の中なら許すけど。
やめてよ。現実世界では、出てこないでって言ったじゃない、、、。


もう、、情けないよ、、。
でも、仕方ない。






最終更新:2009年09月03日 20:15