あれから、瞬く間に季節は過ぎて。
この春。
あたしたちは大学を卒業した。
あ〜ちゃんは念願の夢を叶え、保育士の仕事に就いた。
あたしは、撮影スタジオでアシスタントをしながら、写真の勉強を本格的に始めることにした。
新しい生活は慌ただしくて、目の前に詰まれた仕事をこなすだけで精一杯だ。
なかなか二人の休みが重なることはなくて、ちょっと油断すれば擦れ違ってしまいそうな日々。
それでも擦れ違わずにいられるのは、同じ空間にいられるだけで愛しく思えることを、あたしたちは知っているから。
帰る場所がきちんとあることを、あたしは知っているから。
明るい光が灯る家に帰れば、愛しい時間と愛しい人があたしを待っている。
暗い部屋に帰っても、明かりを灯して、愛しい時間と愛しい人を待つことができる。
これって、最高に贅沢なことじゃない?
そう。卒業を機に、
あたしたちは、一緒に暮らしはじめた。
あれから、のっちからの連絡は何ひとつない。
どこへ行ったのか、何をしに行ったのか、いつ帰ってくるのか、そもそも帰ってくるのか・・・・
何ひとつ、あたしは知らない。
だけど、あれからずっと、あたしの耳には星のピアスが輝いている。
ねぇ、
今も、のっちのことを想い出さない日はないよ。
だけど、寂しくはないよ。
ちゃんと、ゆかは元気です。
、、なんて、ちょっと、嘘。
やっぱり、寂しいよ。
、、会いたい、です。
向かいのホームだとか、深夜の街角だとか。
気が付けば、いつでものっちを探しちゃうの。
こんなところにいるはずない、って頭では分かってるんだけど、さ。
ねぇ、のっち?
だけどさ、
ゆかの一番近くに愛する人がいて、
遠く離れた空の下にも、ゆかのことを想ってくれる人がいる。
それが、今のゆかを強くさせてるよ。
結局、あたしの中で二人との関係を明白にすることなんて、できないの。
あたしはまだ鍵のない檻の中に囚われたまま。
どうせなら、早く帰って来て、今度はのっちが首輪でも付けちゃってよ。
それでも、きっとあなたたちはあたしを鎖で繋いではくれないんだろうね?
どちらか一方を強く想えば、もう一方も同じくらい愛しく想えて仕方ないんだ。
あ〜ちゃんは
「それでいい、それがいいよ」
って、言ってくれる。
そして、のっちの代わりに強く抱きしめてくれるの。
最近やっと気づいてきたんだけど。。
なーんかさ、うまいことハマっちゃったみたい。
ホントは誰よりも策士。
アマイ罠に翻弄されるのは、いつもあたし。
だけどね、それも心地いいんだ。
ずっと翻弄されてたいとすら思うの。
それで、安心できるの。
だからさ、のっちも何も気づかないふりをしたまま、一緒に翻弄されてよ。
きっと、優しいのっちのことだから、あなたの耳にはハートのピアスが光ってるんでしょ?
−×−×−×−×−×−
愛したいの
ギュッとしてるの
壊したいの
知ってるの
そう、知ってたの。
ゆかちゃんのことなら、何でも知ってる。
ライアー、ライアー、
ホントはね、
ずっと前から気づいてたよ。
あなたが私を愛してること。
ライアー、ライアー、
ホントはね、
最初から知ってたよ。
あなたとあの子の関係。
ねぇ、ゆかちゃん?
私だけ、、じゃなくても、いいよ。
あなたは優しい人だから。
あなたは私なしでは生きられないから。
あなたがあの子を想えば想うほど、あなたの私に対する後ろめたさは増えていって。
あなたの中で私の存在は、もっともっと大きくなっていくでしょう?
ゆかちゃんがのっちを想えば想うほど。
ゆかちゃんは私から離れられなくなるの。
だから、私だけのゆかちゃん、じゃなくてもいいよ。
だって、そう仕向けたのは、私。
ライアー、ライアー、
あなたが嘘つきで良かった。
だって私も嘘つきだから。
あの子とあなた、
ライアー×ライアー
あなたと私、
ライアー×ライアー
ホントは、あなたが私から離れていくのが怖かった。
だから、あなたが私から離れられないように仕向けたの。
あなたが無理矢理にでも私を手に入れようとするように仕向けたの。
そうして、私はあなたを手に入れた。
あなたなしでは生きられないのは、
ホントは、私の方。
だから、閉じ込めたの
罠にかけて、檻で囲って
『自由』という見えない鍵をかけて
あなたが逃げ出したいなんて思わないように。
だから、
私だけのゆかちゃん、じゃなくていいよ
だけど、
最後には 私だけ
采配は 私だけ
「ただいま〜」
「あ〜ちゃん、おかえり〜」
「あれ、なんかいい匂いするーw」
「えへw今夜はゆかの特製ハンバーグでぇす」
「そっか、ゆかちゃん今日休みだったっけ」
「うんwだから、久しぶりに頑張っちゃいました」
「そうだ。ポスト溜まってたよ〜。あ、コレ、ゆかちゃん宛てみたい」
「ん?・・・エアメール?」
「あ。。」
「「のっちからだ!!」」
try the new world?
最終更新:2009年09月03日 20:23