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サイドK


『また夜くるよ〜』
そう言って、驚くゆかを笑って、あ〜ちゃんは車を出した。
ちょっと待ってよ!
何なんよ、これ。
何で?
何でなん?
うそでしょ?


『・・・ゆか?』
混乱しているゆかの頭に響いたのは、
ずっとずっと聞きたかった愛しい人の声。
ゆっくりと振り返ると目に入るのは、
ずっとずっと会いたかった愛しい人の姿。
夢、じゃないよね。わかってる。
三時に迎えに行くつもりだったもん。
迎えに行かせてよ、のっち。こんな時くらい、、。
手を伸ばせばすぐ届く距離にある愛しい人の体。
涙腺が崩壊しないようにキュッと口をつむんで、
ちょっとだけ上むいた。
その途中、視界に入ったのは、
あのゆかを捕らえて離さない大きな大きな目が、
優しく垂れて、切りすぎたみたいな短い前髪と一緒にとても柔らかかった。あったかかった。


『おかえり!』
バカのっち!
帰ってきたのはあんたじゃろ。
ゆか、あんた迎えに行くために出てただけよ。


『ばっ、、か、、、逆、だよ、、、。』
やっと出た憎まれ口。
のっちが優しく笑うから、
涙を我慢して、ゆかも笑った。




笑ったら口元がゆるんで、
目頭が知らないうちにジンワリ熱くなるのを感じた。


『ただいま。』


やっと帰ってきた愛しいのっち。
やっと“おかえり”を言える日がきた。
どれだけ待ったと思ってるんよ。


『心配かけて、ごめん。』

バカのっち。
大好きのっち。
もうどこにも行かないで?
ここにいて?
ゆかの隣。
すぐ、隣に。


『・・・お、かえり。』


やっと言えた。
たったそれだけ。
その一言だけなのに涙が出そうになるから、
必死でこらえた。
だってのっちがいるんだもん。
笑顔でいたいよ。


『迎えに、きたよ。』


あ、、
こらえていた涙腺。
見事に崩壊。
いつかも聞いたその言葉。
欲しくて欲しくて、ただ淋しかった二年間。


『待たせて、ごめん。』


本当だよ、バカ。
のっちのバカ。
のっち、大好き。
バカだけど、大好き。


本当に壊れてしまった涙腺。
溢れ出る涙を止める気すらおきない。
もう、いいや。
泣いちゃえ。
二年も待ったんだから。
そんくらい受け止めてよ、のっち。




のっちの腕が真っすぐ伸びてきて、ゆかの髪を撫でた。
とても優しく、表面1mmくらいを、そっと撫でた。
次の瞬間、
勢いよく引っ張られて、ゆかはいとも簡単にすっぽりと包みこまれた。
久しぶりののっちの温度、匂い、感触。
その全部をゆかの体は、
欲しくて欲しくて、しょうがなかった。
力強いのっちの腕の中。
また、少し、泣いた。


『幸せにするよ。絶対にする。
のっちが、ゆかを幸せにする。』
力強い言葉。
有無を言わせない台詞。
そんなん当たり前じゃん。
幸せにしてよ。


『まだ一人前じゃないし、まだ大人にもなりきれてない。けど、、、
けど、ゆかを幸せにすんのは、のっちでありたい。』
もう、、涙、止まらん。
ただ頷くだけしかできないゆかを、
のっちは力いっぱい抱き締めてくれた。




『ゆかを幸せにしたい。』


『ゆかを幸せにするのが、のっちの幸せ。』


『ねえ、ゆかは?』


バカのっち。
ちょっと今泣いてるんよ。
バカのっち。
そんなん決まっとるじゃろ。


『・・・幸せに、し、て。』

抱き締めた腕をゆるめて、
のっちは眩しすぎるくらいの大きな笑顔を見せた。
泣かないで?と、ゆかの涙を拭ってくれた。
ずっと隣で笑って?と、ゆかのホッペをつまんだ。
それからもう一度抱き寄せられた腕の中は、
あったかくて、優しくて、大きくて、、
“のっちがいる”
それだけでゆかは、幸せになれる。けど、、


『愛してるよ。幸せになろ。』


のっちの一言で、
やっぱり、いっぱい愛してもらおうって思った。
バカのっち。
大好きすぎて、
涙出る。







最終更新:2009年09月03日 20:32