「のっちたち、、、、どうしよっか?」
ようやく気付いた。いや、ようやく、見ないフリ、気付かないフリをやめた。
ゆかちゃんの口から、中田さんの話を聞いて、確信した。
これは、のっちとゆかちゃんの問題、だ。
ゆかちゃんは言った。「付き合うことなんてできない関係」だと。
そうなんだ、、、このままの関係じゃ“恋人”同士にはなれない。
こっそり付き合っちゃえばいいじゃん?・・・無理だよ。
のっちはこんなんで、テキトーなやつだけど、仕事に関しては大真面目。
ゆかちゃんだって、そう。プライベートを仕事に持ち込むようなこと、プロとして許せないはず。
そんなに、器用じゃないんだよ、二人とも。
器用じゃないから、踏み出せず、器用じゃないから、離れられないんだ。
わかってるよ。もうすでに、仕事上の関係を飛び越えていること。
でも、壁がなくなってるわけじゃなくって、確かに存在していて・・
それが高いのか低いのか、厚いのか薄いのか、硬いのか脆いのか、、、存在してるはずの壁が見えない。
でもさ、その壁。存在してるのはどこ?
のっちとゆかちゃんの間?ゆかちゃんのココロん中?・・・のっちのココロん中?
きっとどれもが、曖昧な正解。
「のっちは、どうしたいの?・・・ねぇ、のっちにとって、、ゆかはどんな存在?」
逆に、問い返される。・・・どんな存在?・・・大切だよ、、誰よりも。なのに、うまく言葉になってくれなくて。
「・・ゆかは、ただの、担当してるアイドル?」
「っ!違うよ!それは違う!そんなわけないじゃん!」
「じゃぁ、、なに?」
漆黒に瞳に捉えられて、息するのも忘れる。脳に酸素が回らない。
「世界で一番、大切な人」
嘘じゃない。誰よりも大切で、どんなことがあっても守りたい。
「ゆかも、、のっちが一番大切、だよ・・・だけど、、じゃぁ、、ゆかたちって、、なんなんだろ…?」
なん、なんかな?ほんと・・
「ゆかは、、、ずっと、のっちに傍にいてほしい」
「うん、のっちも、傍にいたい、よ・・・」
でも、、
「でも、、正直、、、マネージャーとしていたいのか、、、恋人になりたいのか、、、わからないんだ」
これも、ホンネ。
あやふやなまま、踏み込んでしまった、きみのココロん中。
ふわふわした居心地の良さに、身を任せてるうちに、、、出口が見えなくなってしまった。
愛しい。この感情に嘘はない。
じゃ、恋人になろっか?・・・そしたら、誰がきみのマネージャーに?誰よりも輝くきみを、他の誰かが支える…?
そんなの考えられないや。ずっとずっと、支えたい。ゆかちゃん、、きみの最高の笑顔を一番近くで見ていたい。
だったら、、、やっぱり、、、、マネージャーなのかな?だってさ・・・
恋は、いつか冷めちゃうものでしょ?・・んーん、、、冷めなくたって、、、この手から、零れ落ちてしまうんだ。
「ねぇ、、のっち?」
気づくと、目の前のゆかちゃんは、今まで見たことのない表情をしていて、息が止まる。
「ゆかは、正直に話したよ?彼のこと・・・のっちは、まだ、、正直になってない」
「え、、、正直になってるよ・・?」
「んーん」
彼女のキレイな瞳が、のっちの胸を射抜く。
「のっちが、ひっかかってるのは、彼とゆかの関係だけじゃないよね?」
え、、、、
「踏み出せないのは、のっちの過去も、関係あるんじゃないの?」
完全に、思考がフリーズした。
視界が晴れる。。。。。壁が見えた。
それは、のっちのココロん中に、そびえてたんだ。
最終更新:2009年09月03日 20:47