「はい!」
「はい、あ…」
「ちょーのっちー。またバトン落としたー。」
「ごめんごめん。結構むずいんだね」
「いきが合わなきゃダメだからね」
「いきが…」
「あたし達は一心同体!くらいの気持ちが大事!」
「一心…同体……」
バトン貰うのも渡すのもむずい。むずいよ。そして奥が深いよ女子400mリレー。
「のっちからあ〜ちゃんに繋ぐの心配だわ。」
「えー?」
「あ〜ちゃんアンカーなのに、バトンでもたついたら一貫の終わりじゃん」
「……ですよね」
リレーのリーダーみたいな子にそう言われて軽く落ち込む。
やっぱのっちにリレーは無理だよ。まず緊張して無理だよ絶対。手も足もガクガクなるんじゃね?
そんな状態でちゃんと走れんのかな……
「大丈夫だよ。のっち、一緒にいっぱい練習しよ?」
「あ〜ちゃん…」
「よしよし」
すりすり頭をなでてくれるあ〜ちゃん。にこって笑って優しい顔してるけど、頭なでてるそれ、バトンだよね?
砂とか泥とかついてるそれ、バトンだよね?
あの一件であ〜ちゃん分からんっ!てなってたけど、ちょっともしない間にすぐ元のあ〜ちゃんに戻ってた。
今までみたいに普通にしゃべるし、普通に笑う。
でもあの一件からスキンシップが増えた気がする。さりげなく髪とかひじの皮だぶだぶのとことか背中とかにタッチされると、なんだかそわそわしちゃうからちょっと自重してほしい。
はいすいません嘘つきました。
自重しろなんてミジンコ程度にも思っとりませんでした。ごめんなさい。もっとやれ!
「今日放課後残って…する?」
「えっ、何を!」
「バトンの練習に決まっとるじゃろ」
「ああ…うん。します。してくださいお願いします。」
「うん、ふふっ。ほんじゃ今日は一緒に帰ろうねー」
そう言いながらのっちのほっぺをつっつくあ〜ちゃんは、やっぱどこかおかしい気がするけど。
それには気付かないふりして、とりあえず今はつっつかれよう。
この幸せな一時を少しでも長く感じられるようにとりあえず今は、
キーンコーンカーンコーン
「あ、予鈴。昼休み終わっちゃうから終わりー!」
ああんもう!いいとこだったのに!
つづく
最終更新:2009年09月03日 21:05