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「てなわけで、今日は一緒に帰れまてん。」
「そっか分かったー。じゃあね〜。」

手をひらひら降ってゆかちゃんは帰ってった。
あれ?なんかあっさりだな…もっと、やだーのっちと一緒じゃなきゃゆか死んじゃう!とか、のっちがいなきゃ寂しいよ…とか期待してたのに。
妄想とは常に逆をゆく女樫野…手におえないぜっ。



「…………はい!よし、なかなか上手くなってきたねっあ〜ちゃんたち!」

はいはいはい!とひたすらバトンの練習してたらすっかり日が暮れてきた。
のっち達は校庭から校舎に向かう道則にある階段に腰を降ろして、沈んでく太陽を眺める。

「ねっ!人間やればできるんだなー」
「ホンマじゃ。のっちはやればできる奴なんねやっぱり」
「いえいえ!あ〜ちゃんのおかげだよ。残ってまで練習してくれてありがとね?」
「んーん。楽しかった…またいつかね、放課後残ろう?そんで遊ぼっ。」

そう言ってあ〜ちゃんは持ってたバトンでのっちの膝をつつく。

な、なんですと!?何それ、誘ってんの!?
……まぁそんな変態みたいなことはさすがに言えないから心の裏にまで押しやってテープでペタっとはっつけた。

二人で一つのバトンの端っこ持って、ちょっとひっぱり合いなんかもして。
目が合うとあ〜ちゃんはのっちの頬をつっつく。
ちゃんと指で。

赤く染まる夕日。それはまさにのっちの心そのもので。
触れてるのが嬉しくて、でもなんか恥ずかしくて。
照れ隠しで言った。

「あ〜ちゃんさ、最近よく触れてくるね。」

ピタっと止まった指先は音もなく離れて。
さっきまで笑ってたくせに。なんでそんな顔するの?

「そう、かな…?」

呟く声が弱々しい。
…まずい。言わなきゃよかった。

「や、嫌とかじゃないんよ!ただそう思っただけで、」
「ごめんもう触らんようにするから」

あ〜ちゃんはすくっと立ち上がってこっちに振り返った。
顔はさっきみたいに笑ってて。うーんって背伸びなんかしちゃって。

「よし、帰ろっか!」
「あ〜ちゃん」
「のっちん家どこ〜?同じ方向だよね?」
「あ〜ちゃん!」

階段を上がってこうとするあ〜ちゃんの手をつかむ。
少し砂のついた手はざらざらしてるけど、柔らかい。あ〜ちゃんの手、柔らかい。

「……手、繋いでこ?」



帰り道。ずっと手を繋いで歩いた。
繋いだ手を大きく揺さぶったり、ぐって下に引っ張って笑いあったり。
おっきい声で歌うたってみたり。
ただそれだけなのにえらく楽しくて嬉しかった。


つづく







最終更新:2009年09月03日 21:07