《過去》
サイドA
『煙草臭いんだよっ!!』
はっきりしない性格。好きだったはず。でも気付いてるくせに確信には触れないで、肝心な一言は言い出さない。それってもしかしたら優しさなのかな?ねぇ、のっち。なんとか言ってよ。
そんな臭いとか、そんな言葉じゃ、この先の感情の方向なんてわかるわけもない。シャワーでも浴びればいいってこと?香水でもつけようか?ねぇ、のっち。なんとか言って?
『・・・わかってる、よ、、、。』
いったいいつになったら、のっちの考えって読めるの?何考えてるんだか、そんな言葉じゃちっともわからない。
あ〜ちゃんね。それでも、これでも、一緒にいたいんよ。卑怯でしょ?そうなの。最近そんな自分にも気付いてるよ。それも全部“わかってる”のかな?
『ごめん。でも一緒にいたいんよ。』
だって寂しかったんよ。辛かったんよ。なんでなんよ?かしゆかは抱いたくせに。
『・・・わかってる、よ、、、。』
本当はのっちって凄い人なのかな?もしかして、本当に何でも“わかってる”のかな?
ねぇ、のっち。“わかってる”から、何?続きは?
ねぇ、ねぇ、ねぇ。
なんとか言ってよ。
何でかな?素直になるのは良いことのはずなのに。
何でだろ?素直になるのは悪いことかもしれない。なんて思う。
のっちと一緒にいたい。と、私はのっちの手を繋いで。
のっちの全てになりたい。と、私はのっちの悩み事を増やす。
ごめん。素直になった結果が、これ。
寂しさを紛らわしたかった。辛さを消してほしかった。
それなのに、自分勝手にのっちへの想いを募らせては、困った顔ののっちを思い出す。
わかっていたんよ。本当は確信犯。
自己嫌悪。してもしても、したりない。
涙を流したって届きやしない。のっちの指は、それを拭ってはくれない。
だってのっちの心、ボロボロにしたのは、この猛毒を含んだあ〜ちゃんの卑怯な涙。
《過去》
サイドN
“わかってるよ”が口癖になったのは、事実を受け止められない現実があることを、わかっちゃった自分をもわかってしまったから。
あ〜ちゃんの寂しさも、辛さも、色々な葛藤にも気付いていたはずなのに。抱き締めれば、それで済んだのに。そんなことも、わかっていたはずなのに。
“のに”がつけば、全部意味のないこと。それもわかっているはずなのに。
あ、また言っちゃった。
のっちって何ができるんだろうな。散々考えたところで選択肢は二つしかない。
人生最大で、最高に愛した人への願いなんて、二択になんかできないし、したくないけど。やっぱり人生どんな時でも、切羽詰まって考える時は、大概二択でしょ?
あ〜ちゃん、のっちの願いはね。
“あ〜ちゃんの幸せ”
どんなに傷つけ合ったって、どんなに許しあえなくたって、やっぱりのっちの頭の中はあ〜ちゃんばかりだから。
“あ〜ちゃんの幸せ”
これが本当の願い。
だけどその手段は、のっちじゃなくても、もう、いいや。
ねぇ、あ〜ちゃん。また笑えるかもしれない。また想えるかもしれない。だけど今じゃなくちゃ無理ならば、のっちは無理だ。ごめん。
先に酷いことしたのはのっち。でも、ごめん。酷いこと言うよ?
のっち、もう好きか嫌いかもわかんない。なんか、もう、わかんないんだよ。
あんなに求めてたのに。
あんなに想ってたのに。
あんなに好きだったのに。
ほらね。“のに”がつくと、意味なんかすぐになくなる。
“のに”の後には必ず否定がくるじゃんか。
ごめん、あ〜ちゃん。
あんなに好きだったのに、もう、何とも思わない。
想えないんだ。
最終更新:2009年09月03日 21:18