目標を肉眼で確認。
綺麗な黒髪に細い体。相変わらず今日も美しい。
同じ車両に乗り込み尚も見つめ続ける。
学校へ向かう坂道では、後方15メートルをキープ。
なんだか今日の彼女はそわそわして見える。
辺りを頻りに気にしているし、心なしか早足だ。
なにか驚異が迫っているのだろうか……
「…………あんたじゃろ」
「へ?」
「どう見てもストーカーそのものじゃ」
「はは、まさか。こんなに好意的なのに」
「自分に全く非がないと思っとるあたり、真性じゃ」
はぁ〜。と溜め息を吐くあ〜ちゃん。
ナーバスになってるね。
気持ちは分かるけど、大丈夫。昨日までののっちとは一味も二味も違うからね!
校門を抜け、昇降口へ。
靴箱を抜けた先で、ゆかちゃんに声をかける。
いけ! のっち!
フレンドリーに。尚且つ軽くならない様に。
大丈夫。できる。やれる。なんたって、のっちには天使がついてる!
「あ、あのっ!」
力一杯声を出すと、簡単に裏返った。
格好悪いけど、ゆかちゃんは振り向いた。
「こ、こないだはすいませんでしたっ!」
「はい?」
のっちはまたも力一杯頭を下げた。
「スカートに頭突っ込んで!!」
言った瞬間、ゆかちゃんの顔は真っ赤になった。
なんだなんだ?
今度は辺りをキョロキョロ気にしだす。
やはり……今日のゆかちゃんはどこかおかしい……
辺りにいる連中も、ざわつきながら足を止め、ゆかちゃんを見ている。
当のゆかちゃんは、完全に俯いてしまっている。
許し難し。一体ゆかちゃんの身になにが起こってるんだ!?
「のっち。の〜っち」
頭上からあ〜ちゃんの声。
周りにバレない様に小さな声とジェスチャーでのっちは応える。
「い、ま。は、な、し、て、る、か、ら。あ、と、で」
あ〜ちゃんは首を横に力なく振って溜め息を吐いた。
……なんだ!?
「のっち。一言だけ言わして貰うわ」
「な、に?」
「しゅ〜りょお〜」
それだけ言うと、あ〜ちゃんは天井をすり抜けて上の方へと飛んで行った。
終了? なにが?
「きもちわるい……」
「へ?」
「二度と話しかけないで下さいっ!!」
そう言ったゆかちゃんは踵を返すと、あっという間に彼方へ走って行ってしまった。
え〜と……なんで?
〜続く〜
最終更新:2009年10月22日 16:13