(K)
一瞬、音が完全に消える。
あ〜ちゃんは動かない
ゆかは動けない
のっちは…見れないからわからない。
しばらくして、あ〜ちゃんが口を開いた。
「……えっ何がよ?」
頭に?マークが浮かんでるのが見えた。
だよね、急にそんなこと言われても訳わかんないよね。
「付き合ってんの」
「えっ何に?」
「何にとかじゃなくてね……恋人なんよ」
「…誰が?」
「ゆかちゃんが」
「誰の?」
「のっちの」
その言葉を聞いたあ〜ちゃんは、そのまま固まってしまった。
視線さへも、動かない。
「…ちょっと待って…どういう事?」
「ごめんねずっと黙ってて…でもやっぱあ〜ちゃんにはちゃんと言わなきゃってずっとおもっ、」
「待って待って待って!…恋人って、え、付き合ってんの?」
「うん」
「のっちとゆかちゃんが?!」
「…うん」
「うそー!えっホンマなん?」
「本当だよ。あ〜ちゃんごめんね…言うの遅くなって」
「………いつから?」
「秋の終わりくらいからかな…」
「そっか…」
そう言ったっきり黙りこんでしまったあ〜ちゃんに、ゆかはいてもたってもいられなくなって。
そっと近づいて、またそっと抱きしめた。
「あ〜ちゃん…ごめんなさい…」
「……」
「ごめんなさい…」
部屋がキン…と音がするほど静まり返った
(N)
あ〜ちゃんを抱きしめてるゆかちゃんの背中が少し震えた。
愛しい背中に襲い掛かるその揺れを本当は今すぐとめてあげたいけど、のっちはただ、見てることしかできなかった。
「…ゆかちゃんなんで謝るん」
「……だって」
「なんか謝らんといけんような事したん?」
「………」
「あ〜ちゃん情けないわ」
「……」
「2人とこんなに一緒にいて気付けなかった自分がほんと、情けない」
あ〜ちゃんはゆかちゃんを剥がす。
きっと涙を流しているだろう彼女の瞳を覗き込むと、今度はあ〜ちゃんがゆかちゃんを抱きしめ返した。
「2人が幸せならそんな幸せなことないんよ、あ〜ちゃんは。だから謝らないで。」
ゆかちゃんから鳴咽が漏れる。やばい、のっちも泣きそう…。
涙なんて見せられないからのっちは上向いて目を閉じた。
「のっちも…こっち来んさい」
あ〜ちゃんの言葉に、閉じた目をそっとぬぐってから従う。
2人の横に腰を降ろすと、あ〜ちゃんはゆかちゃんをそうしたまま、のっちのことも抱きしめてくれた。
「言ってくれてありがとう」
ゆかちゃんものっちも、あ〜ちゃんの腕の中で死ぬほど泣いた。
ほらねゆかちゃん、大丈夫だったでしょ?
最終更新:2009年10月22日 16:17