アットウィキロゴ
ねぇ、のっち?
壁を越えられないのは、どっち?・・・それは、お互い様、か…
けど、ゆかは、超えようとしてるよ?んーん、もしかしたら、もうそのてっぺんに立っている。
…そこから、どこへいこう?ねぇ、、、そっち行っても大丈夫なのかな?・・・不安だよ。
だって、あなたは、もう一つ向こうの壁の先にいて、、、飛び越えるどころか、動けないままでいるんだもん。


ゆかはね、気づいたよ。うぅん、ようやくわかったよ。
今と過去なんて、比べられないんだよ。確かに、感じられるのは、今、だけでしょ?
比べようとするのが、そもそもの間違いなんだよ。
彼が帰ってくる。・・・そう聞いて、あやふやになっていたことがはっきりした。
比べるもんじゃない。ひっかかってるならさ、、壊すなり、飛び越えるなり、、なんなりしなきゃいけないんだよ。


「踏み出せないのは、のっちの過去も、関係あるんじゃないの?」

そう問いかけると、のっちは大きく瞳を見開いて、、、、止まった。
      • なんで?って、、?知らないとでも思っていたの?・・・・甘いな、、全く…
ゆかは、イジワルだから、甘くないよ?・・・だから、のっちはホンネを話してくれるまで、、、追い詰めてあげる。
だって、、ゆかのキモチは、もう決まってるから。・・・決まったから。


「のっちにとって、“彼女”は今もまだ、トクベツ?」
「え、なん、で、、、?・・・
「なんで、知ってるのかって?」
「・・・」
「のっちがきっと、、、“出会う”前から、ゆかのこと知ってたように、ゆかだってのっちのこと知ってんだよ?」
「…あぁ、、、」
「何度か、一緒に仕事したことあるし、、、あ〜ちゃんとも仲良しでしょ?」
「うん、、、そだね・・」
「ま、それだけじゃなくても、結構情報網はでっかいから・・ね?」
「…そだね、、、物心つく前から、この世界におるしね」
「お互い、ね・・・」


のっちがそわそわし始める。・・・ねぇ、なにを考えてるの?・・・誰のこと、、思ってるの?
再び、問いかける。
「ねぇ、、まだトクベツ?」



のっちより、ちょっぴり年上。ヘアメイクの彼女。
のっちを初めて見かけたのっていつだっけ?わかんないや。それよりも前から、ウワサだけは耳にしていた。
社長の娘、だしね。それに、このルックスじゃん?無駄に整ったルックスに残念な中身。・・そりゃ、目立つって。
そうだ、たぶんあの時だね、何年か前に、仕事終わりの彼女を待つのっちとスタジオの玄関ですれ違った。
ちょうど、ゆかの後を歩いていた、彼女を見つけたときの、のっちのやさしい笑顔は今も忘れられない。
瞬間、あ、付き合ってるんだって、直感に響いた。
あの頃さ、同性同士ってことに少し抵抗のあったゆかのくだらない壁を、いとも簡単に打ち砕いちゃうほどのそれは
ほんと、愛に溢れた表情で、いいなぁって、ほんと単純に、こんなに想われるなんて幸せだなって、そう思ったんだ。

だから、のっちがゆかのマネージャーになってしばらくして
彼女が、某俳優さんと婚約したって話を聞いたときは、ほんとに驚いた。・・・・なんで?って。



「・・・トクベツ、、かも。・・キライになって別れたわけじゃないし」
「じゃ、、、なんで?」
「ん?・・んー、、“普通”の幸せが欲しいってやつ?かな」
「・・・」
「あとは、、のっちが優柔不断、、てか、ヘタレだった、から、、かな?」
そう呟くと、眉をいつもよりもハにして、力なく苦笑いした。

「ヘタレじゃダメなの?・・・ゆかは、ヘタレなのっちも好きだよ?」
「はは、ありがとう。。なんかさ、不安にさせちゃったんだろね、、、のっちがコドモだったんだよ…」
ずっと伏せられていた、おっきな瞳がゆかを捕らえる。
「全然、成長してないよね?・・・今また、一番大事な人を、不安にさせちゃってさ」
でもね、、、と、のっちは続ける。
「誰よりも大切なこと、大好きだって言ってことにウソはないんだよ?・・それは、信じて」
「うん、、、わかってる・・・」


わかってるよ、、、そんなのわかりきっている。だから、ゆかは、ここまで来れたんだから。
ゆか、がんばったよ?もちろん、のっちがずっとずっとそばにいてくれたから。
ねぇ?ゆかじゃ、のっちがその壁を乗り越える力をあげられないのかな?ずっとずっと、、、そばにいるのに…
もっと近づいてよ。その壁よじ登ってさ、、そんで二人して、壁の上からダイブするの。
すごく高いけどさ、きっと二人なら、華麗に着地できると思わない?
うぅん、のっちとなら、、不時着だってかまわないよ。・・・それって、なんだか刺激的じゃない?


「ゆか、、中田さんと会うよ」
「え・・・」
「ん?だって、これからのこと話し合わなきゃ」
「わかった・・・じゃ、その予定で段取りする、、ね・・」

ねぇ、、のっち?


ほんとに、わかってる、の?
なにが、わかった、の?


壁を壊して、高く高くダイブするのも
この距離を、限りなく0に近づけるのも

一人だけの力じゃ、ムリなんだよ?


ねぇ、もっともっと、、、絶対離れないくらい、離れることなんかできないくらい

ゆかは、のっちに近づきたい。
近づいてほしい。


だから、、こっちに来て、よ・・・






最終更新:2009年10月22日 16:39