今日は1日スタジオで撮影。
時計はもうすぐ12ってとこを指そうとしてる。
今はゆかちゃんの撮影中。
わたしはスタジオの端っこで休憩。
のっちの姿を探したけど見つからない。
もう…またどこフラフラほっつき歩いとるんよ。
あ〜ちゃんはあんたのことでこんなに悩んどるのに。
のっちが好き。
って分かった日から
のっちのこと以外見れなくなった。
気がづいたら目で追っちゃうし
目が合ったら合ったで胸が張り裂けそうなくらいドキドキするし
でも素直になれないわたしはつれない態度ばっかりとってしまう。
今すぐ「好き」って行って胸に飛び込んだら、のっちはどうしてくれる?
やっぱり
「冗談やめてよ」なんて言って突き放しちゃうの?
なんて考えてたら
涙が出た。
撮影中なのに…バカみたい。
そもそも「好き」なんて言う勇気無いくせに。
誰かにこんな姿見られたくなくて
涙を拭って立ち上がった瞬間
「あ、いた。あ〜ちゃん」
大好きな人の声。
最悪のタイミング。
心配かけたくなくて、必死で平静を装う。
「のっち!!どこ行っ」
言い切る前にのっちはわたしの手を引いて早足で歩きだす。
「ちょっと来て」
「ちょっと…!!のっち、撮影」
「大丈夫だから。ついて来て。」
のっちはどんどん歩いてく。
何だかいつもと雰囲気が違う…?
わたしはといえば
突然のことに呆気にとられてたけど、手を握られてることとこの状況に気づいた瞬間、あり得ないくらい心臓は早く鼓動を打ち始めた。
「あ、ここだ。」
そう言うとのっちは
非常用のハシゴをよじ登り始めた。
「のっち…?」
「ここ屋上につながってんの。よいしょっと!」
かけ声と同時にハシゴの先にあった天井の蓋が外された。
「ほら、あ〜ちゃんも」
「え…そんなんしたら怒られるよ。それに…落ちたら…」
「大丈夫だよ。のっち、絶対あ〜ちゃんの手離さないから。」
のっちは上から手を差し出す。
わたしはその手をゆっくり掴んだ。
一段ずつのぼる。
のっちの手はしっかりとそしてあたたかくわたしの手を包んでいる。
最後の段をのぼり、屋上に出た。
「上…見てみて」
そこには
「う…そ…」
あり得ないほどきれいな星空が輝いていた。
手を伸ばしたら届きそうなくらい輝いていて、あまりの美しさに感動して…涙が出た。
「前にこのスタジオ来た時見つけてさ、次来た時はあ〜ちゃん絶対連れて来ようって思ってた。」
夏の終わりの心地よい風が2人の間に流れ、一瞬の静寂を包み込む。
そして
「あ〜ちゃん…好きだよ」
思いがけない言葉に頭が真っ白になる。
「…え」
これは夢?幻?
だってのっちがわたしを…好き?
「冗談…やめてよ」
気づいたら自分が想像していた最悪のセリフを自分で言ってしまっていた。
それでも
「冗談なんかじゃないよ」
のっちの瞳は揺るがず、あ〜ちゃんだけを見つめる。
それは星なんかよりずっとずっと美しく輝いていた。
夢でも幻でもないことを実感させる。
そして、これまで抑えていた気持ちが溢れ出す。
「のっちがあ〜ちゃんを守るから…だから」
「好き…!!」
のっちの胸に飛び込んだ。
のっちは優しく抱きしめてくれる。
ヤバいよ。
のっち…かっこよすぎるよ。
と思った直後
「…よかったぁ〜」
と言ってのっちはその場にヘタヘタと座り込んでしまった。
「の、のっち?」
「もうあ〜ちゃんに『冗談やめてよ』って言われた時は死んだと思った〜」
前言撤回。
完全ヘタレいつもののっち。
「…バカのっち!!」
のっちに背を向けて座る。
さっきまでの最高のムードと世界一かっこいい王子様のっちはどこに?
「やっぱのっち嫌い」
慌ててのっちはわたしに詰め寄る。
「う、うそでしょー!!!うそだって言っ」
半人前王子様にキスの仕返し。
「…うそだよ」
そのままののっちが一番好きだよ。
「あ〜ちゃん…」
今度は王子様の特別なキスの魔法で笑わせて。
「途中まではのっちとは思えんぐらい完璧な王子様やったのにね〜」
「それはゆか…」
「?」
「ななな何でもないれす!!」
(ゆかちゃん脚本、演出だなんて一生言えるわけ無い…)
「アホニョッチ…」
END
最終更新:2009年10月22日 17:42