大丈夫。
あたしは音楽だから。
いつでも、流れるようにそこに在る音楽だから。
いつでも、溶け込むようにそこに在る音楽だから。
だから、大丈夫。
怖がらないで。
踏み出してみて?
触れてみて?
×××
夜の隙間が鋭角になった。
つまり、空気が変わったってこと。
二人を纏う空気が、張り詰めて尖ってる。
ううん。
二人の、じゃない、彼女の。
のっちの動揺が洩れてるの。
ねぇ、
何を緊張しているの?
ねぇ、
勇気ないの?
「いつまで続けるの?」
こんなこと。
そう続く言葉をわざと飲み込んで、斜め下から睨んであげれば。
「いつまで、だろうね?」
かしゆかは、どうしたい?
なんて、余裕ぶって、口元だけで笑いながら疑問に疑問で返してきた。
斜め上からの鋭い視線。
ダメだって。
そんなことしたって、もっと煽るだけだよ。
あたしのリズムを。
そんな強がったって、わかってるもの。
ホント、あなたの隙はわかりやすい。
ねぇ、だけど、
忘れさせないよ。
あの日のこと。
忘れた、だなんて言わせてあげない。
酔った勢い、だなんて言わせてあげない。
わからないの。
だから、ちゃんとして?
ちゃんと、踏み出して?
あたしに触れたいなら、触れたいって言えばいいじゃん。
そんな後ろめたそうに触れるくらいなら、我慢くらいしてよ。
それができないなら、今すぐ刺激をちょうだい。
早くあたしに入ってきて。
続けたいの?
終わらせたいの?
そもそも始まってすらないのに?
入り口すらないのに、
出口なんて見つかるはずがないね。
ねぇ、のっちが踏み出さないなら、あたしが行くよ。
ゆかから行くよ?
戻れないくらい
もっと深いところまで潜ろう。
あなたに教えてあげる。
最高のキスを。
あなたに奏でてあげる。
最高の音楽を。
×××
視界が反転する。
ううん。
した、んじゃない、させたの、あたしが。
だって、あたし、、
「あたし、勇気あるから」
斜め上から、見下ろしてあげれば。
ほらね、怯えたふりして、ホントは喜んでる。
ホント、あなたの好きはわかりやすいのね。
最終更新:2009年10月22日 18:26