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映画のヒロインにでもなったみたいに幸運が舞い降りてきた。あの、かしゆかが、こんなにも近くにいる、なんて。想像を絶する。近くにいても、遠い人だって。わかってたはずなのに、伸ばしてしまった腕は、なかなか元の位置には戻らなかった。だって、触れてほしかったんだもん。


そんなふうに思ったのは、ずっと昔だった気もするし、つい最近のような気もする。でも、そんなのは関係ないよ。顔よりも大きいサングラスの奥に光る瞳は、のっちの全てを透視してるみたいで、怖かった。だけど、それは本当はただの照れ隠し。なんでしょ?
「噛んで、いい?」
胸元に舌を這わせ、時々爪を立てた指で胸のてっぺんをひっかかれ、挙げ句の果てには、噛みたい。だなんて。可愛いんだ、ゆかちゃん。
「んっ、、いい、よ、」
のっちが断らないの知ってるくせに。
暗闇の中で光る二つの牙と二つの瞳。吸っても、噛んでも、縛っても。ぶっても、切っても、傷付けられても。のっちは何でも許すから、そんな物騒なもの、のっち以外の前じゃ、早くしまってね?
そんなふうに思うのは、舞い降りたのは幸運じゃなくて、不運だから?
「あ、血の味する」
ぺろっと舌を出して傷跡を舐めた。嬉しそうにのっちの血の味を確かめてる。なんだか、とても可愛い。そんなふうに言ったらやめちゃうだろうから、言わないよ。
「ぁっ、ん、、のっち、、おいし?」
ゆかちゃんとなら、不運ですら、幸運。



「なにそれ?可愛いw」
あ、牙見えた。瞳が光る。耳の後ろの首筋に、かぷっと食い付いてきたゆかちゃん。ねぇ?もっともっとちょうだい?のっちに、ゆかちゃんちょうだい?のっちの血、いくらだって吸っていいから。
「んんっ、、は、やく・・・」
ゆかちゃんの耳に口をつけた。そっと舌を伸ばすと嬉しそうに笑った。ねぇ?ゆかちゃんものっちといたら幸運?
「なに?今日、煽るね?」ふって鼻で笑って見下すような視線を降らせる。それ、すごく、好き。
「じゃ、ちょっと指でひろげてて?」
「うん」
自然な誘導尋問。抵抗なんて、しない。のっちにとっては夢みたいな現実。それが本当は悪夢であっても。
「っつぁぁっ!ん、、」
痛みにも似た快感に洩れる声も大きくなる。やばい、脳みそ痺れてきた。ゆかちゃんしか、いない。
「きもちい?」
小さな舌をのっちの濡れたそこに這わして、痛いほどの快感をくれるなら、本当にもう、何されたっていいよ。
「う、ん、、ね、ぇ?」
「なん?」
牙が光る。瞳が光る。捕らえたなら、離さないでいて?だって、触れていたいんだもん。
「のっちの全部、、あげるから、んっ、ぁあっ、、ゆかちゃんの、ぜ、んぶ、、「もうあげてる」



瞬間、最奥に痛み、心に幸運が舞い降りた。下から聞こえるはしたない水音で、ゆかちゃんの声が掻き消されなくて、よかった。
「大好き、、」
「シー、、」
人差し指でシーってやって、牙を剥いて笑った。
「きもちくなるから、集中して?」
うん。早くイカせて?なんて。ゆかちゃん相手だったら、もうあと一分もたないよ。指の動き、手前から奥へ。肩の動き、下から上へ。ゆかちゃんの短い呼吸音と、のっちの熱い吐息と、下で鳴ってる水音がちょうどリンクして、
「んあっ、、イッちゃ、、う、、、」
「イキなよ、のっち」
あ、駄目。本当はもっと触れていたいのに。全て差し出すから、全て奪って?全て受けとめるから、全て曝け出してよ。


首筋を指で撫でると少しだけ、ぴりっと痛みを感じた。でもそれは心地よくて。この乱暴な小悪魔が吸血鬼に変身したの、知ってるのは、のっちだけ、で、いいよね?




Part3.END






最終更新:2009年10月22日 18:30