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「あ、虹」


せっかくの休日に雨なんてついてない。
今日はあ〜ちゃんと2人で映画デートのはずだったのに、駅に行く途中突然の豪雨に襲われて慌ててあたしの家まで引き返した。
家に着いた頃には全身ずぶ濡れで、仕方ないからこのまま大人しく家に引きこもることに。
着てた服はとりあえず脱いで乾燥機にかけた。
あたしはパジャマにしてるスウェットとTシャツに着替え、
あ〜ちゃんにはちょっと小さめのTシャツと短パンを貸して…この姿を見れたってことではある意味ついてるのかも。

…なんて思ってたら、雨、やんだみたいだ。

「雨やんだよあ〜ちゃん!映画行こう!」

ソファーに座って雑誌に目を落としてるあ〜ちゃんにいち早く報告。
服も乾いてるし、映画映画!あ〜ちゃんの喜ぶ顔が目に浮かぶ!
…と思ってたら、なんとも予想外の言葉が返ってきた。

「雨やんでないよ」

雑誌をパラパラめくりながら、何の抑揚もつけずにそんな事言うもんだから少し呆気に取られた。

「やんだよ?ほら、虹も出てるし」
「やんでない」

こっちも見ないでパラパラパラパラ雑誌ばっか見て。
何を言いますかあ〜ちゃん!やんでるんだったら!

「外見てよあ〜ちゃん、やんでるか、」
「やんでない!」

ピシャン!と音が鳴る。
目をおそらく白黒させてるあたしを見て、あ〜ちゃんはにっこり笑った。

「カーテン閉めてこっち来て」



雑誌をぽいっと床に捨ててそう促してくるあ〜ちゃんに疑問を感じながら一応言う通りにする。
右側に並んで座ると、ぴたっとくっつくあ〜ちゃんの腕とあたしの腕…。

「雨、やんどらんけえ…家にいよ?」

コテっと頭をかしげてあたしの肩に置いた。
伝わる体の熱に思わず脈が速くなる。

「…やんでるよ?」
「やんでないの!」
「映画楽しみにしてたのに、いいの?」
「…いいの」

するっと左腕を取られる。
そのまま絡んできたあ〜ちゃんの右腕と右手。
隙間がないくらいの距離。
すぐそこには雨のにおいを微かに残したあ〜ちゃんの髪。

自由のきく右手で頬をさすってやると、顔を上げた。
一瞬目が合ってすぐ…唇に熱い感触。

「はぁ…」

絡む舌とは反対に、解いた左腕を肩に回して抱き寄せた。

「…あ〜ちゃん…これがしたかったんだぁ」
「違っ、…ん」

嘘つきな悪い口をまた塞ぐ。違うだなんて。
そんな嘘ついちゃダメだよ…自分からしてきたくせに。

「はぁ……違うの?」
「…」

でも一応、あたしの間違いかもしれないからね?
真っ赤な顔を覗き込むとあからさまに目を伏せた。

「じゃあやめる?」
「…」
「…やめとこっか、」
「ゃだ…」
「何?」
「嫌い…」

あたしの肩におでこを当てて機嫌を悪くするあ〜ちゃんの柔らかい髪をなでる。
耳に唇を寄せるとわずかに肩が動いた。



「したいの?…されたいの?」
「もぅいいっ」
「いい訳ないじゃん。…どっちよ。したい?」
「…、」
「言わなきゃわからんよ?されたい?」
「…………たぃ、」
「ん?」
「…したい」

またまた予想外の言葉に、今度は呆気に取られず心を奪われる。
そっか、したいんだ。そっかそっか。
…もぉ、かわいいなぁ。

「…ふはは」
「なんで笑うんよぉ…」

弱々しくそう呟いてぎゅっときつく抱き着いてきたあ〜ちゃんの顔が見たくて、背中をぽんぽんと叩く。

「あ〜ちゃん、ねぇ、あ〜ちゃん」
「のっちなんか嫌いじゃ…」
「あ〜ちゃん、ねぇ、顔見せて?」
「やだ」
「もぉ…」

叩いてもさすってもくすぐっても離れてくれないから、仕方なく力いっぱい向こう側へ倒れた。
弾むソファーのスプリングで揺れたあ〜ちゃんの胸。
瞳を潤まして見上げてくるその表情に、思わず手が出そうになったけど…我慢我慢。

「…触っていいよ」

耳元でそう呟くとあ〜ちゃんの両手がTシャツを掴んだ。
ゆっくり…めくりあげられる感覚に身を任せて、静かに体を少し上へとスライドさせる。

「…はい」
「ん、のっち…」
「あっ…」

舌が、唇が、あたしの胸を這う。
その甘い感触にたえるようにあ〜ちゃんの頭を抱えて、揺れる体を押さえこんだ。


終わり






最終更新:2009年10月22日 19:03