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Side N
最近は、あたしのバイトがない日は、あ〜ちゃんと二人で過ごすことが増えて嬉しい。
今日も午後から、あ〜ちゃんとの約束。
そろそろゆかちゃんの誕生日が近いから、二人でプレゼントの買い物。
その後は、あ〜ちゃんが見たいって言ってた映画を見る予定。

図書館前で待ち合わせて、いつもならあ〜ちゃんが「まだかな〜」って顔して
待ってて。
そんで、あたし見つけてクシャって笑ってくれるんだ。
あたしはその一連の動作が大好きで、時間ギリギリに来ちゃうんだよねw

でも今日の待ってるあ〜ちゃんの横顔は、どこか儚げで不安が漂ってる。
あたしが近づくまで気付かなかったし、顔を合わせたとたん口がへの字になって泣きそうな顔をした。

なんだろ?待ってる間に、変なヤツから声掛けられた?
「何かあった?」
そう聞いてもふるふる顔を振って
「何でも、なぃ。」
「ホントに?」
「うんw」

笑って答えてくれたけど、何か気になる。

「ほら、行こ?」
「あ、うん。」
最近二人の時に繋いでくれてた手は、あたしの手を掴まずに、コートの袖を引っ張った。



ホントに大丈夫なの?
大した事じゃないなら、それで良いんだけど…。

何件かお店を回って、色々手にとりながら時々上を向いて。
たぶん、ゆかちゃんの顔を思い浮かべながら、楽しそうに選んでる姿に。
大丈夫なのかな?と少し安心していた。

あ、そうだ!
「あ〜ちゃんは最近、何か欲しいのとかある?」
ゆかちゃんの誕生日が近い=クリスマスが近いって訳でプレゼントの探りをしておこう。

「ん〜?」
手元のピアスから顔を上げて、聞き返してくる。
「例えば、気になってるけど、自分じゃ買わないなぁ…みたいなのとか?アレすっごい欲しい!!とか…。」

視線をピアスへと戻して
「あたしは…何にも、いらなぃ…。」
笑っていた顔に、ふっと儚さが宿る。

まただ…。
「あ〜ちゃ…。」
「っ、ねね!これ絶対ゆかちゃん似合うと思わない?」
「え、あ、そうだねw」
心配で伸ばしかけた手にハッとして、慌てて笑顔をつくるあ〜ちゃん。
あたしの手は行き場をなくして、元へと戻ってきた。

それからあ〜ちゃんはテンション高めなまま、プレゼントを買ってお店を出た。
でも、なんだか無理してるのが、あたしでも分かった。



すごく気になるけど…それは映画を観てからにしよう。
だって、あ〜ちゃん楽しみにしてるから。

外に出ても、あ〜ちゃんの手は相変わらず、袖を摘んでる。
「映画、楽しみだね〜?」
「あ〜ちゃん、ずっと見たいって言ってたもんねw」

その内容は、まぁ恋愛モノで、二人とも大好きな女優さんが主演してるってことで…。
どっちかってぇと、こっちが主な理由かな?

映画館に着いて、チケットを買って、座席について、そして上映が始まる。
思っていたより切なくて、所々ぐっときたりもした。
でも、途中で気付いたのは…。

相手の男の子を好きだけど、素直に言えない彼女。
それでも、側に居ていつも彼女を助けてくれる男の子。

まるで、あ〜ちゃんとあの人みたいな関係…。

チラッと見たあ〜ちゃんは、ただじっとスクリーンを見ていた。

『オレは死んだって、おまえのこと守ってやる』
劇中でそんな台詞があって

別の場面で男の子は、実際に自分の命を顧みずに、道路に飛び出してしまった彼女を助けた。
命を失いはしなかったけど、意識が戻らなくてずっと眠ったままだった。



最後は…、まぁ、そこは映画だ。
数年後に目をさました彼と無事に結ばれてハッピーエンド。
そしてエンドロールが流れる。

ぱっと室内が明るくなって、また、あ〜ちゃんの横顔を確認すると
あ〜ちゃんは静かに泣いていた。
流れる涙を拭くことさえせずに、まだスクリーンを見つめていた。

あまりにも綺麗で見惚れそうになったけど、あたしは自分の指であ〜ちゃんの頬を撫でた。
そしたら、ビクッと反応して
「あ、ごめんw出なくちゃだねw」
自分で涙を拭いながら、荷物を手に席を立つあ〜ちゃん。

歩き出そうとするその手を、無意識に掴まえていた。
「のっち?」
「手、繋ごう?」
立ち上がってそう言うと
「…ん。」
少しして、小さな返事をしてくれた。
その表情はやっぱり不安定…。

そして、折角繋いだ手は
「のっち、あたしお手洗い行って来るね?顔も直さなきゃw」
「あー、じゃあ、その辺で待ってるわ。」
トイレの出入り口付近を指差して言うと
「うん、分かった。」
数分で離れてしまった。

はぁ〜…
早く、あ〜ちゃんの不安の原因を知りたい

ねぇ、あ〜ちゃん
あたしに、それを取り除く力はあるかな?



—つづく—







最終更新:2009年10月22日 19:16