アットウィキロゴ
腰にはあなたの腕。
胸元にはあなたの体温。
少し見上げた視線の先には、とてつもない引力で誘ってくる唇。
視線が合う。目線で会話。近づく顔。


でも今はあげない。だって。




「はい、じゃあ次のっち視線正面でー。」



そう、今は撮影中。身長のバランスのせいなのかはたまた単なるカメラマンさんの好みなのか、だいたいがのっちが真ん中。


今はゆかがのっちと向き合う体勢。
至近距離での撮影に、困ってる私のわんこ。回された腕からそわそわしてる心の中が手にとるようにわかる。
わざと顔を近づけてやると困りつつ喜んでる、その表情がかわいい。


あ〜ちゃんと二人で両側からまた距離を縮めてやる。
困って、どぎまぎして、にやにやして、ほんとにかわいいなーこのわんこは。


でも、そんな顔、あんまり他の人に見せんでええんよ。
あとね、さすがに撮影中にちゅーはだめだよ、おあずけだよ。




「あー…もうだめだー…!!!」



帰ってくるなりソファーに倒れ込むのっち。


その姿を見ながら靴を脱いで答える。
「のっち、明日も撮影あるんよ??ちゃんとやらんとまたあ〜ちゃんに怒られるよ??ww」



「ってかさー、あ〜ちゃんもゆかちゃんも絶対確信犯でしょ!あんな至近距離で目の前にはゆかちゃんが上目遣い、背中にはあ〜ちゃんの柔らかい感触が…」


なんてブツブツ言いながら足をばたばたさせてる。


近寄って見る、クッションに埋められた後頭部に垂れ耳が見えるゆかは病気なのかな?



「終わったことはもういいじゃんー。せっかく二人になれたんだしさ。こーゆー時楽だよね、メンバー同士だし家にいてても何も言われんs「だから大変なんじゃん!!!」



今まで臥せてたわんこがいきなり立ち上がる。



「人前であんな密着とか普通のカップルじゃありえんじゃん!!もーいろいろ大変なんよ、なんかいろいろ…がまんすんのがー!!」


ゆかよりでかいそのかわいいわんこはまだ頭を抱えてわーわー唸る。



もう…聞き分けのないわんこにはおしおきだな。



「ゆかだっていろいろ我慢してたんだもん。」


「へ?」




情けない顔してこっちを見たのっちの右手をとる。
ダンスのターンの要領で体を回転させて、のっちの自慢の本棚に押し付ける。



子供に言って聞かせるように、視線を捕まえる。



「せっかく二人の時間なんだからさ。」



若干負けてる身長差を利用してわざと突き上げるようにして口づけてやった。



いつもと立場が逆なせいか突然の事で混乱したのか、固まっちゃってるのっちが面白くて。
意地悪したくなって、深く口づけて、逃げるのっちの舌を捕まえて…。



繋いだ手は変な力入っちゃってて。ん、とか言っちゃってるし。ゆかの腰のあたりのシャツをきゅっと握りしめちゃってさ。
初めてキスする高校生かっ、可愛すぎるんよあんた。
ゆかの胸まできゅんって一瞬縮んだわ、わんこのくせにやりよるね。
ってか息ちゃんとしてる?


キスから解放してやるとのっちは力が抜けたように、私の視界から去ろうとする。


いつの間にかのっちの顎に添えていた右手でのっちを繋ぎとめる。
逃がしてなんかやんないよ。



「ゆ、か…ちゃ……ん、、」



潤んだ目で見上げてくるのっち。
あんたなんて顔しとるんよ。
そんな最高にだらしなくて艶っぽい顔、絶対誰にも見せたらいかんのんよ。



初めての感情が心の中を一気に満たした。



大事な事は目を見て、ゆーてきかさんとね。
「のっちは、ゆかのことだけ見てればいいんよ。」



さっきとは逆の視線で見下ろしながらそう言うと、のっちの喉がひゅって鳴った気がした。





あぁ、これが、
独占欲ってやつか。







最終更新:2009年10月22日 19:25