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どっからひっぱり出してきたのか、古いカメラを手に、今夜のゆかちゃんはご機嫌だ。のっちはのっちで、最近見つけた、さっきから同じコード進行ばかり繰り返してる音楽をかけて、気分はハイ、だ。
『ご機嫌じゃん』
『ゆかちゃんだって』
見つめ合い、言い合って、笑い合う。穏やかな時間が流れて、この甘い匂いの部屋の濃度が、より一層、濃く、なった。時より見せるゆかちゃんの、柔らかい笑顔が大好き。普段の強気なのは、もっと大好きだけど。
—カシャ—
不意に聞こえるシャッター音に、わずかに遅れて笑顔をつくった。「おそいw」って、ゆかちゃんは笑った。可愛いな、ゆかちゃん。何でこんなに可愛いんだろ?のっち独り占めしてて、いいのかな?
—カシャ—
また不意に聞こえたシャッター音。片方だけ口角をあげて、意地悪に笑ったゆかちゃん。その笑顔に反射的に身体が波をうった。その顔、ドキドキするんだもん。のっち、我慢できなくなっちゃうよ。
「どしたん?w」
指をもじもじ遊ばせてると、にやにやしながらゆかちゃんが聞いてくる。わかってるくせに。意地悪なんだぁ、ゆかちゃん。でも、のっちね?ゆかちゃんに意地悪されるの、結構好きみたい。
意地悪に笑ったゆかちゃんが、のっちの髪を耳にかけた。多分赤いだろう耳に口をよせて、ゆかちゃんの熱い息がかかった。また反射的に身体がよじれた。ゆかちゃんは笑って、そして、ためらいもなく耳を噛んだ。



「んぁっ、、」
反射的に洩れた声は、自分でも驚くほどに甘かった。その声に、とくに驚くわけでもなくゆかちゃんは、
「なに?シたいん?」
あくまで冷静に、あくまで意地悪に。のっちの大好きなゆかちゃん、で、いてくれる。なんでだろ?そんなつもりなかったのに。いつの間にか身体が熱い。
「ん、、わ、かんな、ぃ、、」
ゆかちゃんは長い指でのっちの頬を撫でた。耳に口をつけながら、ふっ、て笑って“わかんないわけ、ないでしょ?”って言われてるみたいだ。
「服、脱いで」
あ、今日のゆかちゃん、好き。淡々とした喋り方。変わらず、ずっと、意地悪な笑顔。冷たい視線に、ますます熱くなる。のっち、何かおかしいのかな?優しくないほうが、愛しくって、優しい、なんて。矛盾してるよね。
「は・や・く」
もたもたしてたら怒られた。ね?もっともっと怒って?のっちのこと、縛り付けていてよ。
最後の下着を剥いだのに、何も触れてこないで、ただ見つめられるだけで。我慢大会みたいになってるよ。先に目を逸らしたほうの負け、ってやつ?
意地悪な笑顔が、冷たい真顔になって。全てを見透かされてるかのような、そんな気分になった。ゆかちゃんになら、それもそれで、全然有りだけど。本当のとこは、どうなんだろ?のっち以外の子にも、こう、なのかな?



冷たい視線が突き刺さる。さっきから目が逸らせない。逸らしたら、負け、て、しまうから。“ゆかちゃん、どこにも行かないで・・・”そんな願いを僅かにこめて、下唇を噛んだ。
「あー、噛まないの!」
綺麗な顔を、困ったように崩して言ってくる。その瞬間、反射的に身体を包む一番外側の薄い皮が、ぞわぞわした。
「噛むのはゆかの仕事だからー」
わざとふざけて意地悪な声をだして、きらりと、牙を剥いた。瞬間、今度は、下半身がうずいた。
気付いてる。気付いてるの。さっきから、もう漏れてきちゃうよ。ね?早く、どうしにか、して?どこにか、シテ?
ゆかちゃんの腕が動いて、その指先は迷うことなく、のっちのそこに触れた。
「なん?これ」
ニヤって笑って、少しだけ動かして、
「ぐっしゃぐしゃw」
満足そうに鼻で笑ってる。
身体は正直だ。触れられたことで、簡単にゆかちゃんの指先をもっともっと濡らす。
反射的に目を閉じた。閉じてから気付いた。あ、負けちゃった。瞬間、ぬるりと指が入ってきた。多分中指。
「んあっ、、やぁ、」
声が洩れたのを確認して、人差し指と薬指が、後に続く。
「ふぁぁ、んやっ、、ん、ぁあっ、、」
洩れる声が大きくなったのを確認して、ゆかちゃんは動きだした。のっちのそこから出たり入ったりしながら、ぐちゃっ、て音を奏でたり、奥まで、ぐっ、て入って、きゅっ、て音を鳴らしたり。
「ゆ、かちゃん、、た、立って、らんない、よぉ、、」
宙に浮かせた片足はびりびりするし、もう片っ方の足はがくがくするし。ゆかちゃんの意地悪。大好き。もう、早く奪って?



「のっち」
目を開けたら、相変わらず冷たい視線のゆかちゃんと目が合った。いい加減、全部ちょうだいよ。ゆかちゃんのこと。のっちに全部。
「ほしい?」
反射的に脳みそが判断したのは、“ゆかが、ほしい?”
迷わず首を縦にぶんぶん振った。ふふっ、て笑って、ゆかちゃんは指の動きを強めた。
「んあっ、、やっ、ばぃ、、」
やばいよ、これ。もうイっちゃう。でも、ゆかちゃん?違うんよ。のっちの判断は違うんよ。
「イカせてあげるから、、」
伏せた視線をゆかちゃんに戻すと、“見ないで”って言うみたいに、ぐっ、と近寄って、顔が見えなくなった。あっ、、もう、、イっちゃ、、


「貰われなよ、ゆかに」




—カシャ—
立ちっぱなしでダルい身体をベッドに沈めていると、またシャッター音がした。顔をあげると、さっきまで意地悪だったゆかちゃんが、優しく笑ってカメラを抱えていた。また反射的に笑顔をつくると、「おそっ」って笑った。さっきのゆかちゃんの言葉が頭から離れない。
「ね?ゆかちゃん」
「なぁーん?」
「のっちのこと、好き?」
狙ったわけじゃないけど上目遣いで聞くと、ゆかちゃんは少し笑ってカメラを構えた。
—カシャ—
今度は笑顔が間に合った。それを見てゆかちゃんはまた笑った。


「好きだよ」
反射的に胸が踊った。




古いレフレックス型のカメラを覗き込んで、ゆかちゃんは、何度も何度も笑った。




Part6.END




最終更新:2009年10月22日 19:38