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 「汗、大丈夫?」
ちゃんと覚えてるよ、あ〜ちゃん。それってHAPPY!で堤下師範に言ったセリフだよね!
あの時のあ〜ちゃんも可愛かったなぁ…。
って、そんなん考えてる場合じゃないよね!?かなりヤバイよね!?
のっちぴんち!なんつって…
…ああぁ〜もうっ!!!のっちってば何でこんな大変な時に変なことしか浮かばないの!!?
何て言えばいい?何て言ったらうまく逃げられる?

 がしっ
 「え…?」
ゆかちゃん、何であたしを拘束してるのカナ?動けないじゃないハッハッハ。
……逃げられないぃ〜!!
完璧に逃げられない。無理だ。
後ろからゆかちゃんに羽交い絞めされて前には笑顔の閻魔様あ〜ちゃん。
逃げたら絶対殺されるっ!!暴力反対だよ!!
あたしはどうにか解決法を探す。でもパニくった頭じゃたいした考えは浮かんでくれない。
そもそも隠し通すのか、二人にばらすのか…それが問題だ。ってハムレットかっ!


パニくりながらも解決策を探すあたしを尻目に、ゆかちゃんが耳元で言葉を紡ぐ。
 「のっち…もうバレてるんだよ?」
 「え…?」
バレてるって何が?
 「お互いの関係」
…ああ、へえ、バレてるんだぁ………っはいぃい!?
 「なななな…?」
 「知ってるんよ、のっちとあ〜ちゃんの関係。ね?あ〜ちゃん」
 「うん。あ〜ちゃんも、のっちとゆかちゃんの関係知っとる」
 「え、あの…いつから??」
 「結構前から。知っててずっと黙っとった」
知ってて黙ってたって…。

確かに、バレてるかも…と少しは思ってた。
でも心のどこかで二人に気付かれてないことを願ってたのかもしれない。
バレてるって聞いて、安堵してる自分とショックを受けてる自分がいて。
気持ちがうまく整理できてない。でもとりあえず、あたしは何を言えばいい?
働かない頭をどうにかフル回転させて出た答えは。
 「ごめん!!!」
 「二股してた事も、それを隠してた事も、ごめん!!!」
二人に対する謝罪の言葉だった。
そうだ。今の関係に慣れちゃってたけど、本当は二股なんて最低な行為じゃないか!
 「最低な人間で本当にごめん!!」
謝ってるうちに涙が出てきた。なんて最低な人間なんだあたし。謝っても謝っても足りない。
今まで心の底に沈んでいた後ろめたい気持ちが、涙となってあたしを責める。
 「ごめん…っ…!」
溢れ出る涙を抑えられない。拭っても拭っても流れてくる。

止まらない涙の向こうで、あ〜ちゃんが動く気配がした。
右手をあげる。叩かれるっ…そう思った。
 「…のっち、もう泣かんで…」
温かく優しい手で、涙を拭われる。叩かれると思った右手は優しくあたしの頬を撫でている。
 「のっちは、あ〜ちゃん達を傷付けたくなかったんじゃろ?」
あ〜ちゃんに頬を撫でられ、ゆかちゃんに頭を撫でられる。
その手が優しくて、温かくて…涙が止まらない。
 「っ…うっ…傷付けたく、なかった…っ…二人の、事…愛して、るから…っ」
涙を流しながら、しゃくりあげながら、自分の気持ちをどうにか言葉にする。
 「わかっとる、わかっとるよ…」

あ〜ちゃんとゆかちゃん、二人があたしを抱きしめてくれる。温かい…。
 「あ〜ちゃんはのっちの事が好き…。愛してるの、のっち…」
 「ゆかものっちが好きよ…愛してる…。のっちじゃなきゃいやなの…」
最低のあたしを二人はまだ好きだと言ってくれる。愛してるとまで。
 「こんな最低な人間でも…?」
 「「もちろん」」
二人が声を揃えて答えてくれる。

相変わらずあたしの涙は止まってくれないけど、今はあたしの気持ちを伝える時だ。
 「あたしは…のっちは…あ〜ちゃんもゆかちゃんも愛してる」
あ〜ちゃんに向き直って気持ちを伝える。
 「あ〜ちゃんの天使みたいな笑顔も、優しいところも、世話好きで情に厚いところも、
  少しわがままなところも、強引なところも…全部全部好き!大好き!!」
 「のっち…」
うまく言葉に出来ないもどかしい気持ちは、優しいキスで。
伝えたい…伝わってほしい。
 「ん…。のっち、大好き」
天使みたいな笑顔で言ってくれた<好き>はとても優しくて、とても温かかった。

後ろにいるゆかちゃんと向き合う。
 「ゆかちゃんの女神様みたいな微笑みも、甘い声も、指先が切れそうな綺麗な髪も、
  少し意地悪なところも、たまに厳しいところも…全部全部好き!大好き!!」
言葉に出来ない思いも全部伝えたいから…優しいキスを。
 「のっち…好きよ。大好き」
女神様の微笑みで言ってくれる<好き>は、すごく安心できて、すごくドキドキする。

………

 「えへへ…」
どうにか涙も止まってくれたみたいだ。二人の前であんなに泣いちゃって恥ずかしいな…。
二人でまた頭を撫でてくれた。幸せ…。
 「うふふ…一件落着って言いたいところだけど」
 「のっちは悪いことしたんじゃから」
 「「<おしおき>受けてもらわないと、ね?」」
え…?何?<おしおき>って…
 「ま、待って…許してくれたんじゃないの!?」
 「許してるよ。でものっち。悪いことしたんだよね?」
 「う、うん…」
 「じゃあ、悪いことした分はちゃんと自分の体で払わなきゃ」
ゆかちゃんの笑顔が黒いっ!!いつの間にか女神様から小悪魔に変化してるっ!!
ってか体で払うってなに!?何かおかしくない!?
解かれていた拘束が再び復活して。あ〜ちゃんも前からあたしを拘束する。
 「待って、おしおきって何!?体で払うってなに!?」
 「言葉通り。のっちの体で謝罪の気持ちを表してもらうの」
 「のっち。大人しくしとったら、痛い事はせんからね」
あ〜ちゃん何するつもりよ!?って、ちょっと服脱がせないで!

耳元でゆかちゃんが甘く囁く。
 「のっち、大丈夫じゃ。ゆかとあ〜ちゃんに任せてくれたら痛い事はないけぇ」
だからその痛い事って!?甘い声で何を囁いてるのゆかちゃん!?
 「ほら、のっち。ばんざ〜い」
 「ばんざ〜い」
 スポッ
笑顔であ〜ちゃんに着ていたシャツを脱がされた。
ああ、悲しきかな、条件反射…。
 「それじゃあ、あ〜ちゃん」
 「うん、ゆかちゃん」
二人で顔を見合せたかと思うと…あたしの耳元に近づく。
右はゆかちゃん、左はあ〜ちゃん。とろけそうな甘い声で囁かれる。
 「「のっち…覚悟してね」」






最終更新:2008年10月11日 15:23