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親からの仕送りだけじゃ、やっていけないからバイトを始めた大学3年の夏。
どうもシャツをジーパンに入れるのは未だに慣れないレンタルビデオ屋での接客。
本当はシャツをインなんてしたくないし接客なんてやりたくないけど、自給高いし、アパートからも近いから我慢ガマン。
そこで友達が出来た。
人見知りの自分としてはこんな短期間で友達が出来るのは奇跡に近いね。

その子の名前は樫野有香ちゃん。
通称、かしゆか。
とにかく細くて、顔がちっちゃくて、可愛くて、髪がサラサラ黒髪ロングで、パッツン前髪の女の子。
音楽とか服とかアクセとか色々と妙に趣味が合うんだよね。
なんと同じ大学に通ってるんだってさ。知らなかったよ。
もっと早く知り合いたかったな。
したら、今のキャンパスライフの300倍は楽しめたと思うよ。

ある日、そんなかしゆかから彼女の親友を紹介された。
「はじめまして。ゆかちゃんから話聞いてるけぇ。よろしくね、のっち」
親友の名は、西脇綾香ちゃん。
通称、あ〜ちゃん。
とにかく可愛くて、キラキラして眩しくて、可愛くて、髪の毛フワフワでまるで天使みたいな子。
イメージカラーがピンクと白って感じの女の子。
あ〜ちゃんも同じ大学に通ってるみたい。知らなかったよ。
こんな可愛い子に気付かなかった自分が憎いぜ。

にしても、ヤバイ・・・。
一瞬で落ちた。
何に?って野暮なこと聞かないでよ。
そりゃ・・・恋に、あ〜ちゃんに落ちたんだ。

こりゃ、ビックリだね。
もうビックリだよ。
まさかね・・・また女の子だよ?
絶対故障だ〜♪てゆうかありえな〜い♪
告白したって、ドン引きされるだけでしょ。

あー、好きになった瞬間、失恋確定って・・・のっちっぽいって言ったらのっちっぽいよね。
笑いたきゃ、笑っていいよ。
のっちは一度好きになると、なかなか諦められない性分なんで。
この気持ちはどうしようもないもん。
好きになっちゃったんだもん。
絶対故障だ〜♪てゆうかありえな〜い♪



それに、あ〜ちゃんはすでに彼氏がいるみたいだし。
金持ちのボンボンだって。
かなりのイケメンだって。
かなりのモテメンだって。
でもあ〜ちゃん一筋なんだって。
そんでもって親公認らしいよ?
さらにDJのセンスがあるらしいよ?
金もってて、イケメンで、一途で、親公認で、なんかの才能があって・・・それってかなり理想な彼氏像じゃん?

そんな理想な彼氏がいるんだから、のっちには最初から勝ち目なんてないのさ。
いいんだ、いいんだ、のっちはあ〜ちゃんの傍にいれるだけでいいんだ。
自分の気持ちを押し殺して、好きな人の幸せを一番に願うよ。って、それってちょっとエゴっぽくない?なんて、ツッコまないでよ。
のっちは、本気でそう思ってるんだから。
あ〜ちゃんが幸せなら、のっちは幸せなのだ。
ほんとはのっちが幸せにしてあげたいけど、それが他の人でも構わないよ。
好きな人が、笑ってて幸せならそれでいいじゃない。そう、のっちは思うよ。

でもさ、あ〜ちゃんに対するこのピュアな秘めた想いは、速攻かしゆかに見抜かれちゃった。
かしゆかって、そういうとこ何気に鋭いよね。ちょっと怖いよね。なんなの?エスパー?

「のっち、あ〜ちゃんの事どう思っとるん?」
ドキー!!ほらーキタキターー!!
「ふぇ?」
あは、我ながらマヌケな返事。

「ど、どうって・・・。良い友達だと、思ってる、よ?」
「ふーん・・・」
あん、パッツン前髪から覗く鋭い視線が痛いぜ。

「な、なに?かしゆかは、のっちに何を言わせたいの?」
「あ〜ちゃんの事、好き?」
「ふぇ!?えっ、えっ?う、、す、好きって、その、あの・・・」
「のっち・・・動揺しすぎ。キモイ」
おいおい、面と向かってキモイって、いくらのっちでも傷つくよ?傷つくよ?かしゆかさん。

「あ〜ちゃんの事、好き?」
うぉい!二度も訊くのか?訊くのか?かしゆかさん。
「そ、そりゃ・・・友達だもん。すき、、、ですよ?」
なんかかしゆかが怖くて、目が見れないよ。
あれ?のっち、なんか悪いことした?変な汗出てきたんですけど。

「友達としてじゃなく・・・一人の女の子として、あ〜ちゃんの事は好きじゃない?」
そ、それってどういう意味ですかい?
もしかして・・・そういう意味で、訊いているのかい?かしゆかさん。
どう答えりゃいい訳?
あ〜ちゃんよりも前にかしゆかにドン引きされちゃうオチかい・・・。



ヤバイヤバイ。顔が熱い。
今、絶対赤面してるって。
口に出す前に、バレちゃうって。
てか、なんでそんな事急に訊くわけ?かしゆかさん。
「ねぇ、のっち。ゆかは偏見なんてないから大丈夫だよ?のっちがあ〜ちゃんを好きでも全然平気だよ?だからのっちの気持ち聞かせて?」

ヤバイヤバイ。
今、絶対眉毛がハノ字に下がってるって。
なんだよ、クソっ。そんな優しい顔して優しい言葉かけやがって、うっかり惚れちゃうトコだったじゃないか。
やるな、かしゆかさん。さすが、小悪魔ちゃんだぜ。

「好き、だよ」
「・・・ちょっ、そんな顔で言わんでよwドキっとしっちゃったじゃん。ゆかに告ってどすんのよww」
っ痛てぇ。
照れてるのはわかったけど、もうチョイ加減して頭叩いてよ。
さっき受けた授業の内容、忘れちゃったじゃん。

「って、なんだよ。いきなしなんでそんな事訊くん?ちょー、はずいんですけろ」
「ごめんごめん。ちゃんとはっきりと確認しときたくてw」
「確認って?」
「のっちの気持ちだよ〜」
「どして?」
はっ!!まさか、あ〜ちゃんに言う気か!この小悪魔め!!
止めてよ!かしゆかはドン引きしなくても、あ〜ちゃんはドン引きするって。
だって、彼女は天使だよ?天使は純粋無垢なんだよ?

「もしかして・・・あ〜ちゃんにバラすの?」
「いくらゆかがのっちの事いじめるの好きでも、そんな事しないけぇ」
あー、よかった。ほっとした。小悪魔にもまだ良心があったんだね。

「実は、のっちにお願いがあって・・・」
「なに?課題ならまだやってないから、見せてあげれないよ?」
「あんた、バカ?なんでこの話の流れで、課題のお願いなんよ・・・」
完全にかしゆかは呆れ顔。
ですよね・・・のっちもなんで課題なんて言っちゃったんだろうね。バカバカ、のっちのバカ。



「で、何さ?お願いって?」
ちょっと口を尖らせてふてくされた風で聞き返した。
「今ので、のっちに頼むのどうしようか、って一瞬本気で迷ったよ・・・」
かしゆかはまだ呆れ顔。さらに頭を抱えちゃった。
もうっ、いいじゃん。早く、教えてよ。ぶーぶー。

「あ〜ちゃんよ」
うーん、『あ〜ちゃん』って名前を聞くだけで、のっちは顔がニヤけちゃう重症状態だ。
また、かしゆかにキモイって言われちゃうよ。げへへ。
「あ〜ちゃんがどうしたの?」

「助けてあげて」

「へ?助けるって?」
「あ〜ちゃん・・・今、どうしようもない状態なんよ」
かしゆかはのっちが初めて見る真剣で深刻な顔。

どうして、どうしようもないのさ。
だって、理想的な彼氏もいるし、かしゆかと親友だし、成績は良いし、もちろん可愛いし、天使だし、欠点なんてひとつもないじゃない。

「かしゆか〜、ちゃんとわかりやすいように説明してよw」
「あー・・・」

「ゆかちゃん!のっち!ここにおったん?探しちゃったよ〜」
かしゆかが話し始めそうとしたら、張本人のあ〜ちゃん登場。
いつものように、ニコニコ笑顔で元気いっぱい。
あー、可愛い。今日はいつにも増して可愛いね。にゃはは。

ほら、見てよ。かしゆかさん。
このあ〜ちゃんのどこが、どうしようもないのさ。

って、あれ?あ〜ちゃん。
夏なのに長袖じゃん。
暑くないの?






最終更新:2009年10月22日 20:45