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「静かじゃね。」
「そーゆう気分。」
「どーゆう気分?」
「こんな気分。」
2人の他に誰もいない部屋で。
あ~ちゃんは2人分の飲み物を持って、あたしの隣に腰をおろす。
あたしはあ~ちゃんの肩に頭をのせた。
ふざけてじゃれあって、こうしてたまに甘えて。
「重いわ。」
言いながらも頭を撫でてくれる。
「弾きとばしちゃう?」
「するわけないじゃろ。」
ポンと頭を軽く叩かれる。その優しい手が大好きだった。

「ほーんと別人じゃね。」
あたしの髪を指ですきながら、ちらりと目を合わせた。
「全然普通だけど。」
「でものっちがおる時―」
「今のっちの話はいい。」
話を遮ると肩をすくめておどけてみせた。
あたしはあ~ちゃんが好きで大好きだから、2人の時はあたし以外の名前を聞きたくない。


「あ~ちゃん愛されとるわ。」
「うっわー自惚れぇ。」
「ふーん、じゃあ帰る。」
そっぽを向き立ち上がるあ~ちゃん。
あたしは目の前で揺れるワンピースを掴んだ。
「ヤダ。」
あ~ちゃんはあたしの言葉ににんまりとして、また頭を撫でた。
「最初っから素直になりんさいや。」
天使みたいに微笑むと、あたしの隣に座り直した。

その横顔は、ゆかだけのものでいい。
「あやちゃん。」
「ん?」
名前を呼べば、天使の笑みで振り向いた。
あたしはその両肩に手を置いた。

「好きじゃ。」

きっついトーンになったその言葉を聞くと、あ~ちゃんは目を閉じた。
まつげが長くて、閉じた目はすごくキレイ。
これも全部ゆかのもの。


ゆっくり近づいて、軽くくちびるを重ねる。
すごく柔らかくて甘くて、あたしはこれが大好きだった。
数秒してゆっくり離れる。
でも、赤くなった頬を見せるのはカッコ悪いから、勢いよく抱きつく。

「ほんと甘えん坊じゃね。」
「あ~ちゃんだけじゃ。」
「知っとるよ。」
「あっそう。」
「あ~ちゃんもじゃけぇね。」
背中に腕が回るのを感じた。
あ~ちゃんはあたしがツンとしても、そのとげとげごと包みこんでくれる。

「あ~ちゃん。」
「ん?」
「…なんでもない。」

好きじゃ、大好き。

「なんじゃ寂しーい。」
ごめんね、もっとちゃんと言えるようになるから。
だから、それまでもそれからも一緒にいようよ。

離れないで、あたしの天使。






最終更新:2008年10月10日 00:10