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カードが三枚揃ったから、ツイてるな。そう思って残り二枚を交換した。これが揃えばフルハウス。もう勝ったも同然じゃない?


ゲームの中で、更にゲームをやって、見事にはまって一気にギャンブラー。でも、負ける気はしない。勝つ、からやるの。なんだって、そう。ゆかが、勝つ、から、やるの。
「のっちが勝ったら何してくれる?」
大層な口聞いちゃって。ま、仕方ない、か。のっちの誇れるとこ、ゲームくらいだもんね。でもね?コントローラーかちゃかちゃ動かすのは苦手でも、カードくらいならゆかだって。
「ゆかが勝つから、なんもしないよ」
えー、って顔を歪ませて、それでも少し笑ってカードを三枚交換した。
「おっ!」
大きな瞳が零れるほど。なに?そんなによかったん?
「自信、あるん?」
「んー、、ある」
ゆかも。ゆかも、ある。なら賭けますか?
「今夜の主導権」
へっ、て瞳を大きく見開いて、カードで口元を隠した。だけどもう一度カードに目をやると、のっちの表情は驚きから自信に変わっていく。
「・・・いいよ」
でもちょっと照れ臭そうに笑うのが可愛くて、何度も見たくてゆかは饒舌になる。
「何期待してんの?」
えっ、て慌てて照れ笑い。
「のっちのえっちぃ〜」
「そ、そんなことっ」
いや、いんよ。えっちな方がいいよ。そりゃ、えっちな方がいいに決まってる。どろどろによがって、二人で堕ちるとこまで堕ちた方がいい。その方がいいに決まってる。


「「・・・せーのっ!」」


掛け声とともに、同時に見せ合ったカードが、今夜の采配を決める。
「ぃやった!!」
両手を小さくバンザイさせて、八重歯を見せて笑った。悔しい。負けちった。なんでなん?4カードとか、ありえんくない?ゆか、フルハウスだよ?
「・・・ずるい」
ずるいのは、ゆかだ。誰がどう見てもゲームに負けた。だから今夜の采配は、今、のっちの手の中、だ。でも、そんなのってないよ。
ずるなんかしてないよ。ってのっちは笑った。眉毛八の字にして、小さな子供をあやすみたいにゆかの髪をわしゃわしゃってするから、余計に悔しくなった。


「じゃ、存分に満足させてくれるわけだ?」
悔しまぎれの台詞を受けて、のっちは顔を真っ赤にした。ふっ、なんそれ?結局ゆかのもの。このゲームも、今夜のゲームも、二人のゲームも。何度もやり直しだってきく。だけど、最終的にはゆかのもの。




「ん、やぁ、、」
小さな胸に口を寄せると、いつもと変わらない甘い声が響いた。右手でゆるゆると腰の曲線を撫でると、くすぐったい、って少し笑った。
「いらないの?」
「・・・なにが?」
「主導権」
見下ろした顔は艶っぽくて、自分の顔がそれに比例するようにいやらしくなってるのに気付く。嘲笑うような視線を向けると、嬉しそうに笑った。
「ん、ゆかちゃんにあげる」
首に回された腕に力が加わって、唇を寄せられた。逆らえない引力のようなそれに、自然と目を閉じた。
触れるだけのキスなんか、それが心地いいみたいな感覚は、もうとっくに捨ててきた。初めから薄くあけた唇は、お互いの舌をすぐにみつけた。
舌と舌が絡まる音。どちらのものかわからない涎が、のっちの唇の端から漏れた。それを舌ですくいとって、また戻る。手は胸を揉みしだく。のっちは身体をくねらせる。一連の流れは見慣れているくせに、やっぱり興奮する。饒舌になったゆかの唇が、のっちの身体の隅々を這って、そしてまた話しだす。
「のっち」
「んあっ、、」
「好き?」
ゆかのこと、好き?
コクコクと一生懸命首を振るけど、そうじゃない。そんなもんじゃない。ゆかの好き、は、そんなもんじゃないんだよ。ねぇ、のっち。ゆかはね?


「愛したいの」


驚かれたように開いた瞳がまた零れ落ちそう。ギュッてしがみついて、それに答えるみたいに。
そう。それで、いんよ。触れた時の安らぎとか、溶け合う時の切なさとか。二人だけが知っていればいいでしょ?どこにも行っちゃ駄目。ゆかも、どこにも行かないから。だから、ギュッとしてな、ゆかのこと。


「・・・采配は?」
「ゆかちゃん、だけ」


いい子。よく出来ました。だからのっち大好き。ちゃんとわかってるね?のんのん。
顔を真っ赤にして、首筋に汗がじんわりしてる。匂いを嗅ぐように顔を押しつけると、皮膚の下の脈がドクドクしてて、血が流れてるんだ、って興奮した。
噛み付くようにキスをして、下半身に触れて、指先を湿らせて。のっちの息があがるから、ますます興奮して、ゆかはおかしくなる。おかしくなるんだ。教えてほしくなる。のっちの全部を。ごめん、ゆか、間違えた。愛したい、なんて、ぬるかったね。ゆかは、


「壊したいの」


のっちの全部、奪ってしまいたい。はぐれそうで怖いの。離さないでいて?見失ったら?どうすれば、いい?誰のため?何のため?ねぇ、のっち。離れてしまったら、ゲームみたいにまた、ボタンひとつで、やり直せるの?


「知ってるよ」


ゆかの感情はマイナスに向かった。なのに、それを一発で修復するだけの力を持ったのっちの真っすぐな声があった。
言い終わると同時に、少し照れ笑い。あ、見つけた、リセットボタン。ずっとこうしてて?何度も、こうしてたいよ。最後には、のっちしかいないんだから。
ゆかのこと、選びなさいよ。そうすれば、めくるめく楽しいゲームが待ってるよ?朝も、昼も、夜が一番。二人だけが知ってる世界。そんなRPG。主人公はのっちでいいから。でも、、采配は、ゆかだけどね。





Part9.END






最終更新:2009年10月22日 21:03