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(危なかった…。のっちのペースに巻き込まれるとこだった)
何とかいつものあたしを取り戻す事が出来た。それに引き換えのっちはあたしの言葉ですっかり意気消沈…。おじいちゃん犬みたいにヨレヨレで魂抜けちゃってる。
(だいたい真剣なのっちは苦手なんよ、ペース乱されて足元はフワフワするし胸はキュッてなって苦しいし…。)
あたしを掻き乱す存在はそれだけで苦手。
あたしはあたし。誰にも乱されたくないし、そうされないように生きて来たつもり。
なのにのっちは、のっちだけはあたしを簡単にあたしじゃないみたいにしてしまう…。
簡単に負けて上げられる程、そんなにあたしは甘くないの。
あたしはあたしのやり方であなたと向き合いたい。だって、ただ守られているだけのお姫様じゃ面白くないじゃない?

Y『のっち、さっき買って来たアイス食べよっか?』
N『ん?あぁそうだねぇ。』
気の抜けた返事。
あたしのせいなのがはっきりとわかる。
(ごめんねぇ、のっち。…でものっちにいじわるするのかなり楽しいの。のっちの事大好きだから許してね。)
心の中で謝罪し、あたしは勝手にアイスを持って来た。
Y『はい、のっち。』
ピックに刺したピノを一つのっちに渡す。
N『ん、ありがとう。』
当然のっちは自分の口に運ぼうとする。
Y『違うよ、食べさせて?』
N『……っ。』
見る見る赤くなるのっち。
Y『何を今さら照れとるん。撮影で散々やったじゃん。』
N『そ、それはカメラ回ってるから、Perfumeののっちだから平気なだけで。』
Y『一緒よ、変わらん変わらん。』
N『えぇ、違うよぉ。』
Y『もう、仕方ないなぁ。じゃあゆかはこっちから食べとくけぇ。半分食べたら交換ね。』
新作の棒アイスにあたしは手を伸ばし袋をあけてかじりつく。
(んー、美味しい。アイス食べてる時って何でこんなに幸せなんじゃろ。ん?)
口を半開きでこっちをジッと見ている視線に気が付いた。
(のっち…、残念な顔になっとるよ……。)
Y『食べる?』
アイスを差し出した途端のっちの顔が赤くなる。
(どんだけウブいんよ…。ま、飽きなくておもしろいけどねぇ。)
N『い、いや、のっちはピノがあるけぇ。』
Y『じゃあジッと見んでよ、食べづらいじゃん。』
そう言って軽く溶けかけているアイスを舌ですくいとる。
のっちは目をそらす事を忘れてあたしのその行為に魅入っていた。



Y『のっちってライブん時だけじゃねぇ、カッコイイの。』
N『……。』
少し眉毛を八の字にさせ、開いてた口も閉じ、何かを考えこんでいた。
N『何でそう思うん?』
Y『だって今も口半開きでアホっぽい顔してたし。いつもだいだいグダグダじゃん。』
(あ〜、なんかやばい。エスカレートして止まんないかも。)
あたしは食べかけのアイスを片手にのっちのそばへと擦り寄った。
Y『そんなに見たいなら目の前で見せて上げる……。』
視線をアイスからのっちに移し、顔の前で、のっちの唇にアイスが当たりそうな距離で、舌をはわす…。
N『……っ。ゆかちゃんのっちの事そんなに嫌い?いじめて楽しい?のっちは…。』
Y『え?』
自分の顔の前にあるあたしの手をそっと握りながら、
N『のっちはグダグダになるくらいゆかちゃんが好きじゃけぇ、からかわれるのは正直辛いよ。』
Y『あ……。』
間近で見るのっちの目は悲しそうな寂しそうな、それでいて何かを決意した揺るぎのない色をしていた。
N『からかわれてるんだとしても、もういい。決めた。遠慮はなしじゃ。』
そう言ってあたしの手を顔の前からどかし空いてる手であたしの体をひきよせた。
Y『あ、ご、ごめん。からかいすぎ、っ!』
強引にあたしの唇を奪い取る。
Y『んんっ!』
引きはがそうと抵抗してみるものっちの力には敵わなかった。
ゆかの1番苦手なのっち。真剣なのっち。
1番苦手で1番大好きな…。
シリアスになれないのはあたしの方。それをのっちのせいにして、自分から言い出せなくてあんな形で煽る事でしかそのきっかけを作れない臆病なあたし。
ホントはこうなる事を望んでたくせに、まだ抵抗を心みる素直じゃないあたし。

(のっちはどんな想いであたしにキスしてるんだろう……。)


Y『んん…っ』
迷いなくあたしの中に侵入してくる生暖かい舌に抵抗しようにも力が抜けて行くばかりで…。
Y『ちょっとっ、待って、アイスが…』
やっとの思いでのっちを引きはがし言えたセリフも覚醒のっちには効果がなかった。
N『……そこに置けばいいじゃん。悪いけどもう止まらんけぇ。それともアイス食べ終わるまで大人しく待ってれば続きさせてくれるん?』
いじわるな笑いを口元に浮かべてる。
あぁ、いつものあたしってこんななのかなって変な事考えてたらアイスを奪い取られテーブルの上に置かれた。
Y『と、溶けるよっ。』
N『後で拭けばいい。』
Y『でも、勿体ないじゃん、ゆかアイス食べたいしっ。』
なんかもう必死過ぎて可哀相な感じになっとるよ、あたし…。
N『のっちはゆかちゃんを食べたい。』
全身の血が一気に沸騰するのがわかった。
Y『オ、オヤジ臭いよっ。』
N『もうオヤジでも何でもいい…。カッコ悪いとこ見られてももう気にせん。のっちはゆかちゃんが好きで好きでしょうがないんよ。みっともないくらい大好きなんよ。』


なんて真っ直ぐなんだろう、それに引き換えあたしはまだ余裕を求めて抵抗してる。我を忘れた自分を曝すのが怖くて斜に構えていつもやり過ごしてた。
のっちの想いを知ってたのに、いつもからかって真剣に受け止めないで逃げてたねあたし…。
Y『のっちぃ、ごめんねぇ、ごめんっ。』
あたしはのっちの真っ直ぐな想いとふがいない自分のせいで涙を堪えきれずに泣いてしまった。
N『えっ、えっ、あぁごめんっ!』
のっちはきっとこの強引な行為のせいで泣いてると思ってる。
Y『違う、のっちのせいじゃないっ、ご、ごめっ。』
泣きながらのっちにぎゅっとしがみついた。
のっちの体の反応で戸惑いが伝わって来る。
恐る恐るあたしの肩を抱きしめ返し、優しく頭を撫でてくれる。
N『もうせんけぇ、ごめんゆかちゃん。泣かせるつもりじゃなかったんよ。ごめん、もうひどい事はせんから…。』
そう言い終わりあたしを抱く力が強まる。優しくも力強いその腕に抱きしめられているだけでとろけてしまいそうになる。
Y『のっち……。』
N『ん?』
Y『どんなあたしでも好きなん?』
N『当たり前じゃろ。』
Y『一生H出来んかったとしても好きなん?』
N『そ、それは…。』
のっちの表情がコロコロ変わる。
(また始まっちゃった、一人にらめっこ。)
Y『また心の声が表に出とる…。』
あたしはいつの間にか泣き止んでいた。
Y『H出来んと好きじゃなくなるん?』
N『そんな事ないよっ!でもねぇ、まぁその…。』
Y『だってもうせんのじゃろ?』
N『いや、それは無理矢理って事で…。』
あれ、またいつもの2人になっとるよのっち。
Y『もう、はっきりせん人じゃね。』
N『あ、ごめんなさい…。というかゆかちゅんが泣き止んでくれてよかったぁ。』
ホントに嬉しそうに笑うもんだから、あたしもつられて
Y『のっち、………続き、して…。』
素直になっちゃった。
N『えっ?……ええっ!?』



まだまだ主導権はゆかのものみたいだけど、たまにはのっちの好きにさせてあげるね。

大好きよのっち。




(完)






最終更新:2008年10月11日 15:35