“あぁ、もう手遅れ、、。”
そんな風に思う今夜。重なったばかりの時計の針が、少しずつ離れていく音がする。
ゆかちゃんの膝の上にまたがって座る。身体は疼いているのに、少し怖くて少しだけ切ない。他にすることもないから、こうやって肌を痛いくらいに合わせてるのに、明日には忘れてるんじゃないか、って。ゆかちゃんを想うと、少し怖くて少しだけ哀しい。
その顔を見れば、少しはおさまるのだけれど、あいにく今夜はその手段を塞がれた。直前に見たゆかちゃんの顔は、なんとも嬉しそうに笑って、少し怖くて少しだけ興奮した。
その身体を抱き締めれば、少しはおさまるのだけれど、あいにくこれもまた、今夜は塞がれてしまった。直前に感じたゆかちゃんの温度は、あまりにも無防備で、少し怖くて少しだけ優しかった。
ゆかちゃんの指先が唇を撫でて、顎を通って喉に触れた。冷たい指先に寒気がする。だけど身体の奥の奥は熱が籠もっている。早く掻き出してくれないと風邪をひいてしまいそうなほど。
少しだけ喉を押した指先が鎖骨を撫でて、脇の下から胸の淵を触った。途端に溜め息にも似た声が洩れると、ゆかちゃんが少し笑った気がした。
ろくに言葉も交わさないまま、ゆかちゃんがピンポイントでスイッチを押してくる。二日前に胸についた傷痕を、丁寧に何度も何度も舌で舐める。
「痛かった?」
ううん。大丈夫。
首を横に振ると、ゆかちゃんはまた、噛み付いた。
「んあっ、、」
痛いくらいの愛撫を、惜し気もなく振りまいて、のっちの心を掠め取る。
“あぁ、もう手遅れ、、。”
ゆかちゃんの指先の温度があがった。それに気付くことが出来るのは、今この世界にのっちだけ?もうね、貸し借りの愛なんて、飽きたよ。ゆかちゃんとだけ、駆け引きを楽しみたいんだよ。だからゆかちゃんも、のっちだけ、のっちと飽きるまで。
「ここ、ヌルヌルしとる」
うん。そりゃするよ。誰のせいよ。頷くと、ゆかちゃんの指先が円をなぞりはじめた。たまにぬめりを指先に纏いながら、敏感な突起を弾いたり、押したり、ひっかいたり。
「ふぁ、んー、、」
全ての余韻に浸りながら、洩れる自分の声にすら興奮、またゆかちゃんの指先を湿らす。
「すっごい濡れてきた」
見えない。見えないけど、のっちの大好きなあの顔で、意地悪に笑ってるんだろうな。
見たい。ふれたい。
でも、
見えない。さわれない。
だから、
「ん、ゆかちゃ、、キスした、ぃ、、」
水音が聞こえる。
さっきまでとは違う、こぽこぽと、水溜まりになっていくような音が。
忙しなく、意地悪く、器用に動く指先が、一瞬止まって、またすぐに現われた。
キスが、くる。
思ったら口にぬるっとした感触。そして、指先。
「舐めて」
さっきまで自分の濡れた秘部に触れていた指先が、口内を駆けずり回る。舌を動かして、一生懸命それに応えた。
「ご褒美」
抜かれた指先と、変わりに唇に唇の感触。噛み付くような勢いがあるにもかかわらず、ゆったりとまとわりつくような、しつこいキス。唇をだらだらに濡らして、惜し気もなく降らせるキスは、むせ返る程に激しかった。
「愛してる」
聞こえてきた秘密。すぐに隠すように、むせ返るキスを繰り返した。
「のっちもあぃ、、ん、ゴホッ、、
指先が喉を押した。
息が、でき、な、、、
ゆかちゃんの指先はのっちの中が受け入れた。苦しさで、一瞬麻痺した快感が、半瞬遅れてやってきた。
「あぁっ、、ぃゃあ、、」
下から上へ、突き上げるような快感が、脳みそまで痺れさす。
ねぇ、ゆかちゃん。感情を、愛情を、持て余すくらいなら、全部のっちにちょうだいよ。
「のっち、、イッて、早く、、」
「んぁっ、、きもち、ぃ、、」
「はやくっ、、」
水音が聞こえる。
グチグチと狭い通路から出し入れされる指先が奏でる。
「のっち、言って?」
ゆかちゃんの吐息が鼻にかかる。熱い。何を求めているの?無理だよ。言えない。喉を押されちゃ、声が、出ない。
「のっち!!」
手前の奥。そこ、だめ。ビリビリする。漏っちゃいそう。苦しい、、
「ぁ、ぃ、、し、ぇぅ、、」
んぁっ、、、
ショート寸前。もう、待てない、よ、、。
「共犯だね?」
耳元で零れたのは、あまりにも無防備な秘密。
少し怖くて少しだけ愛しい。
あぁ、もう手遅れだ。
Part10.END
最終更新:2009年10月22日 22:08