ふんっ〜、ふふん〜、、、♪
最近お気に入りの音楽を口ずさみながら階段を上っていく。
吐き出される息は、微かに白い。
ご機嫌な理由?・・・さ、なんでだろ?
もしかしたら、この先に、彼女がいるかもしれない、、から?
んー、、それは、半分正解、で、半分不正解。
彼女が暮らすビルの屋上。
重い扉を開けた先に、、、いた。
とことこ、と少しずつ、彼女との距離をつめる。
「なに、してんの?こんなとこで、、、風邪ひくよ?」
「んー・・・もうすぐ、花火があがるらしい、から」
「花火?・・こんな季節に?」
「うん、、なんかの10周年記念だって、、クリスマスイベントもこみ、で」
「へぇ〜…、こっから、見えるの?」
「さ、わかんない」
「わかんないんだw」
「てか、のっちこそ、なんでこんなとこにおるん?」
「ん〜?ゆかちゃんが、おるから?」
「意味わかんないしwてか、よくここにおるってわかったねぇ」
「うん、そだねぇ〜w」
隣に並び、柵にもたれかかる。
お互い、視線は交わさない。
ふんっ〜、ふふん〜、、、♪
さっきの続きを口ずさむ。
「なになに〜、ご機嫌だねぇ」
「うん、まぁね」
「なんか、いいことあった?」
ご機嫌?・・・
んー、、それは、半分正解、で、半分不正解。
いや、どっちかってっと
自分のテンションを上げるため、だろう。
あの時、みたいに。
初めての告白の時、みたいに。
「んー・・いいこと、ある、、、かも?」
「えぇ、なにそれ〜」
もしくは、人生最悪の一日になっちゃうかも。
冷たい空気を胸いっぱいに吸い込む。
よし、ラストゲームスタート。
「はい、これ」
ポケットから、キレイに包装されたちっさな箱を取り出す。
「ん?なにこれ?」
「プレゼント」
「クリスマス?あ、誕生日の?」
「うん、、、ま、それもいろいろ」
?な表情のゆかちゃんに、包みを開けるように促す。
「わぁ、超かわいいっ!」
プレゼントは、とてもシンプルなシルバーのリング。
見た目はシンプル。でも、こめた願いは、
単純だけど、簡単じゃない。
「…ゆかちゃん?」
「ん?」
「今日で最後にする。ゆかちゃんのこと、待つの」
「えっ・・・」
さっきまで、まぶしいくらい輝いていた笑顔に、戸惑いが広がる。
「のっちもう、おんなじこと繰り返すの飽きた」
「…」
「だから、これが最後の告白」
これは、賭け、だ。
人生最大の、賭け。
ポケットから、もう一つのリングを取り出し
そっと、手のひらの上にのせ、差し出す。
「それ、ペアリング」
「…」
「のっちのキモチはもう、決まってる。おなじこと繰り返して、さ
ぐるぐる、ぐるぐるして、さ。でも結局、戻ってくんのは、ゆかちゃんとこ。
…てか、最初っから、のっちの居場所、そこしかないんよ」
「のっち・・・」
手元のリングなのか、のっちの手のひらのリングなのか
そのどちらでもないのか、、、俯いたままのゆかちゃんの表情は読み取れない。
「ねぇ?」
「ん?…」
「…ゆかちゃん?」
「なん?」
やっと、こっちみてくれた。
瞳は、少し潤んでいて、頬は、ほんのりピンク。
そして、鼻先は、ちょっぴり紅い。
「もうね、ほんと大好きなんです。
だから、もういいかげん、ずっとそばにおってよ。
あぁ、、てか、ずっとそばにおらせて、よ?」
「ゆかは、、、
「ん?」
「ゆかは、のっちのこと、、縛りたく、ない・・」
消え入りそうな、声。
「のっちは、もうとっくに、ゆかちゃんに縛られてんだけど?
…てかさぁ、、聞きたいのは、そんなことじゃなくって・・・
「ゆかちゃんは、のっちのこと好きかどうかってこと。
のっちと、一緒にいたいかどうかってこと」
「・・す、き、、、いっ、しょに、、、いたい」
「じゃぁ、もういいじゃん?それで」
「でも…」
「でもじゃないし、、じゃ、離れる?」
「やだっ!」
あまりに必死な表情に、思わず笑みがこぼれる。
「でしょ?wうん、のっちももう、離れんのはヤ」
「言いたいこと、いっぱい言い合ってさ、たくさん喧嘩したっていいじゃん」
「・・うん」
「縛りたくないってんなら、縛ってるなんて思わせないくらい、のっち自由でおるし」
「えぇ、それヤだ〜」
「だから、ゆかちゃんも、のっちのこと、翻弄してくれたらいいよ」
「なにそれ、意味わかんないだけどw」
うん、だからさ
「一緒にいようよ」
「仕方ないなぁ」
そう言って、ゆかちゃんは最高の笑顔をのっちにくれた。
「指輪、つけてくれる?」
「あ、うん」
「のっちのは、ゆかがつけてあげる」
ゆかちゃんは、のっちの手のひらから、リングを拾い上げる。
のっちは、ちっさな箱の中から、揃いのリングを拾い上げる。
コツン。
二つのリングが口付けをかわす。
「「無限大」」
視線が交わり、同時に笑いがこみ上げる。
互いの右手にそれを、はめ
同じように、口付けをかわした。
ぎゅっと、手を繋ぐ。
「はぁ、、ようやく掴まえた・・・
いったい、何年待ったんだか」
「10年」
「えっ?」
「10年前でしょ?のっちが初めて、告白してくれたの」
「・・・覚えて、たんだ」
「ゆかは、のっちがくれたものは、全部覚えてる」
「うん、、のっちも」
「それと、掴まったのは、ゆかじゃなくて、のっちだから」
繋いだ手をぐっと引き寄せられ、さっきよりも
熱いキスをした。
あぁ、やっぱり、かなわない。
夜空を見上げる。
「花火、まだかな?」
「もうそろそろじゃないかな?」
「見えるといいね」
「うん、そだね」
「てかさ、今年の夏は、浴衣着てさ、花火大会行こう」
「いいねぇ〜」
「ちょっと遠出して、お祭りとか、さ」
「うんうん」
「海も行って、はしゃいじゃおうっか」
「えぇ、日焼けヤだぁ〜」
「あ〜ちゃんとかと一緒にさ、バーベキューもして」
「いやいや、いいけど、なんでそんなに、夏なん?
のっち、そんなに夏好きだったっけ?」
「ん?そういうわけじゃないけど、さ・・いいじゃん」
ぎゅっと、抱きしめる。
「春も夏も秋も冬も、ずっと一緒にいよ」
「うん」
もう、絶対にこの手は離してやんない。
遠く、花火の音が響いた。
最終更新:2009年10月22日 22:22