これはきっと夢か幻だ。
だって、さっきお断りのメールをよこした本人が目の前にいるんだよ。
夢に決まってる。
幻に決まってる。
だったら……。
N『もう、終電ないけど大丈夫なん?』
少しの真顔のあとゆかちゃんは柔らかく微笑んだ。
それは暖かくてこっちの心を、キュッと掴んで苦しくさせた。
K『まさか遊びに来いって言っといて追い出すつもり?』
私がさせた作りモノなんかじゃない、本当の微笑み。
幸せそうなその顔は私を窮屈にさせる。
大好きなのに、
ずっと笑ってて欲しいのに。
その笑顔が私を苦しめる。
N『……。』
胸のしめつけに言葉を詰まらせると、彼女の顔色も変化する。
不安を抱いたその揺れる瞳が、私を自由にした。
止まっていた呼吸が再開されると同時に、全身を駆け巡る血液に酸素が行き渡る。
運ばれた酸素が思考を滑らかにし、私は私を取り戻した。
N『……泊まってけばいいよ。』
彼女の幸せが私を不安にさせる。
どうしようもないくらい、泣きたくなる。
なぜ?
こんなにも好きなのに、愛してるはずなのに。
K『ごめん、そんな顔させたくて来たんじゃないんだ。』
知らずによせた私の眉間のシワが、彼女の心を曇らせた。
あぁ、そっか。
好きだからだ。
愛してるからだ。
どうしようもない、そう気付いたら自然と涙が溢れてくる。
K『多分、あたし達は…。』
言いながら彼女も顔を歪めていく。
うん、そうだね。
そんな気がするよ。
きみが言わなくても言いたい事は伝わるよ。
だってさ。
私はゆかちゃんが大好きだから。
最終更新:2009年10月22日 22:26