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side-K

大本さんとの唐突な出会いから数日。
寝泊まりはこっちの樫野有香さんの布団に忍び込んで、寝かせてもらっている。
もちろんあっちは気づかないし、寝返りをうってもあたしの体は通り抜ける。


正直何ともいいがたい生活。元の世界のみんなは元気かな?


そう言えば、あたしの体ってどうしてるんだろ?学校行かなきゃ。
ヤバい。単位落とすじゃん!!

いざ気づいてしまうと焦りはどんどん募っていく。
あ〜、どうしよ!!!

どうしようもなくて、でんぐり返しをしまくってしまったw


ごとん。


んん? なんだ?
ケータイだ!

電池も全然大丈夫だし、普通に動いてる!
慌ててケータイを開き、ついつい習慣でメールをチェックする。

「あれ?時間が進んでない?」

あたしの記憶の最後の時間から、1分たりとも動いてない。
これはどーゆー事だ?まぁ、これなら授業の出席日数が足りないとかは無いだろう。
一安心。



そろそろお昼時。この時間帯は、女中達の話を聞きにいく。
ここ数日でいろんなトコで立ち聞きした情報によると、有香は結構な身分の人らしい。
仕事なんかしなくても全然食べていけるぐらいにはお金持ちらしい。
それなのに綾香様に仕えると言って聞かず、早く結婚させようとする親に反発。
西脇家の屋敷に住み込みで、専属の家庭教師として働いているらしい。
歌人としても若くしてそこそこ名のある人で、我が先祖ながらなかなかやる女。22歳。

そんな有香が仕える綾香様改め、西脇綾香様。あ〜ちゃんと名前が全く同じw
彼女は人間的にすばらしく出来た人らしく、だれからも愛されるそうだ。
家柄もかなり上流。見合い話が絶えないらしい。
ちなみに、彼女はまだ17歳。有香に毎日勉強を教わっているらしい。

あれ?この間見た感じじゃ全然家庭教師とかって空気じゃなかったよね?
友達同士がただ仲良くしゃべってるみたいだったよね?ありゃりゃ?

どーゆーことじゃ?


ってことで、レッツ潜入操作!!!
家庭教師の時間に綾香様の部屋に忍び込んじゃう事にしました!





「綾香様、失礼致します。」
「どうぞ。」

お決まりの台詞。二人の授業はいつだってこの言葉から始まる。

「今日は何をしましょうか?」
「崩していーよ。有香ちゃんの話が聞きたいな。」
「先週もそれだったじゃん。」
「いいんだよ。有香ちゃんの話は勉強になるから。」

ほら、もう授業放棄してるしw

「じゃあ、何について?」
「植木鉢についてとか?」
「いやぁ、それはちょっと・・・」
「じゃあ、私にここまでして仕えてくれる理由。」
「え・・・
「だって、樫野家なんて名門じゃん。お父様は大納言だし、雄星様だってもうすぐ官職に就かれるんでしょう?
そんな家の娘がどうして私の家庭教師してるの?」
「それは・・・」

いやいやいや、あたしこの話聞いてていいの?まずくないか?

「ただ単にあやちゃんの人間性に魅力を感じただけだよ。」
「嘘。」
「んー・・・ 危うさ、かな。」
「危うさ?」
「あやちゃんのいいとこは心が真っ直ぐだってこと。でも、そのことが欠点になるんじゃないかって思う事がたまにあるの。そのまま大人になったら、きっとあやちゃんはいつか傷つく。
だから、私が家庭教師になって、ある程度の対策をとることでせめて傷を浅くしたかった。」
「それだけ?」
「うん。私と同じ目には遭わせたくないから。」
「?」
「だって、もうあやちゃんは私と同じ方に向かってるんだと思うんだ。」
「なんのこと?」
「今はいわない方がいいと思う。きっともうすぐ気がつくと思う。だから、気になる事は何でも有香に相談してね?」
「うーん? まあいいや。わかった。」

聞けば聞くほどわけがわからんっw
この二人の関係はなんなの?

「あ、ちょっと忘れもの。取ってくるね。」


有香が部屋を出ようと襖を開けた瞬間、穏やかな日差しが部屋に注ぎ込み、あたしの意識はさらわれた。



つづく







最終更新:2009年11月01日 03:03