のっちはブランコを漕ぐ。
夜の公園は、なんだか雰囲気が大人っぽい。
静かで、なんか背筋がシャンとするような、気持ちが引き締まるような。
昼間と置いてあるものは変わらない。
ブランコ、鉄棒、ジャングルジム、砂場、滑り台。
砂場の横には、背の低い水飲み場。
中心には外灯と時計、端っこには打ちっ放しのお手洗い。
昼間は子供の為の場所なのに。
同じ場所なのに不思議だ。
「ねぇのっち」
「うん?」
「落ち着いた?」
「あ〜……まぁ」
「さっきはごめん。のっちの頭でも分かる様に説明するね」
「…………えーっと」
バカにされてる……?
いや、言うまい。
あ〜ちゃんは言葉がちょっと不自由なだけだよね。
違う星だもん、しょうがないしょうがない。
「あ〜ちゃんずっと立ってたら疲れたんよ」
「うん」
「分かる?」
「なにが?」
のっちが百パーセント雑じり気なしの回答を口にすると、あ〜ちゃんは物凄いため息を吐いた。
それ、のっち以外にやらないでね?
多分事件が起きちゃうから。
「あ〜ちゃんはもうのっちの考えてることは分からん。のっちの願いは叶えられん。自分の足で立っとったら疲れる。ここまで言えばどういう事か分かるじゃろ?」
「…………?」
「なんでなんじゃ……この子の頭はもしかしたらウニで出来とるんじゃ……」
「ちょっと! 失礼だよさっきから」
「信じれん……」
そう言ってあ〜ちゃんは頭を抱えて、本当に信じられないものを見る様な顔。
ちょっとちょっと心外だな。
なんなんだよ、分かりやすくってんなら答えだけ教えてよ。
「もう。どうせのっちはバカですよ。頭ウニですよ」
「…………のっち」
「なに?」
「握って」
「へ?」
そう言って右手を差し出すあ〜ちゃん。
握る? 握手ってこと?
でものっちはあ〜ちゃんの体は……
「あ……」
…………さわれる……
「え、なんで!?」
「なんでも」
「あ、あ〜ちゃんが許してくれれば触れるんだっけ?」
「それも違う」
「〜っ……どゆこと?」
「屋上でも言った。アンタみたいな子は初めてだったんよ……」
あ〜ちゃん?
答えになってないよ?
〜続く〜
最終更新:2009年11月01日 03:20