あたしがこの手を伸ばせばきっとまた元通り。
でもそれは、不安や迷いも一緒にって事。
のっち、好きだよ。
私だって好きだよ。
重苦しい空気の漂う部屋で、ただ二人、顔を見合わせては泣いて笑って……。
気付けば始発が動き始める時刻。
街が動き出すのに合わせ、あたし達も動き出す。
帰らなきゃ。
あたしの世界に。
のっちのいないあたしの世界に。
K『……、じゃゆか行くね。』
のっちの顔が少し歪む。
散々泣いた。
一晩中泣いてた。
なのに涙は涸れてはくれない。
それはのっちも同じで、それが嬉しくてまた涙が込み上げてくる。
立ち上がりのっちを見つめる。
体育座りで顔を膝に埋めてる彼女が小さく見えた。
かがみ込んできみの名を呼ぶ。
K『のっち。』
無言で顔を上げたのっちの表情は初めてみるものだった。
まるで、捨て犬みたい。
いや、おもちゃを取り上げられた子供みたいでもあった。
のっちと二人で幸せになりたかった。
けど、ゆかは。
ゆかとのっちは似てるから。
だからきっと幸せにはなれないんだ。
こんなに好きなのに、
好き、だけじゃダメなんて。
K『キスしていい?』
N『うん。』
触れるだけの優しいキス。
まるで初めてするみたいにぎこちなくて、ほんの一瞬かすめるような。
でも、たぶんずっと忘れないよ。
あたしは立ち上がって玄関へと歩く。
力の入らない足を引きずるようにして。
最終更新:2009年11月01日 03:23