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次に意識を取り戻した時、あたしは倉庫の中に戻っていた。

「・・・寝てただけ? なんだぁ、夢かw」

開きっぱなしの家系図を箱にしまう。

こん。

箱に何かがぶつかる音。


あ、これ・・・


大本さんがくれたブレスレット。

夢じゃない。あれは夢じゃないんだ。
あたしは確かにあそこにいたんだ。
じゃあ、樫野有香さんはホントに家系図の樫野有香?
疑問は考えれば考えるほど、湧き出て来た。



急いで父の書斎へ向かう。

「お父さん、今大丈夫?」
「うん、どうした?」
「ちょっと聞きたいことあって。」
「何?」
「さっき偶然うちの家系図見たの。何代も前なんだけどね、あたしと
「一緒の名前か?」
「え、、、なんでわかったん?」
「そっか。見つけたか。お前の名前はその人から貰ったんだ。」

え?あの樫野有香さんから?偶然じゃないの?

「樫野家の歴史の中でも変わった人でな。その人の話はゆかのおばあちゃん、まぁ俺の母親から聞いたんだけどさ。」
「どんな話?」
「未婚なんだ。その代は男一人女一人で、お前達と一緒。ちなみに雄星の名前もそこからもらってる。今の樫野家の遺伝子はそのお兄さんの物。有香さんはかなりいい線いってた歌人だったみたいなんだけど、ずっとどっかの家に仕えてたらしい。」

聞いた話がどんどん出てくる。あの話全部やっぱり現実?

「へぇ。未婚が珍しいの?」
「まぁ、その時代でそこそこいい家柄の娘なら確実に結婚してる。なのに彼女はずーっと結婚を拒んでたらしい。しかも、彼女は最期が見届けられてないんだ。どうも失踪したらしい。すごく賢くて美しい人だったみたいなんだけどなぁ。」

おんなじ顔してたんですが・・・
てゆーか失踪てなんよ!?

「ふーん。んで、なんでその人の名前取ったの?」
「なんか、生まれたてのお前の顔が『ゆか』って感じだったんだよな。そのときに先祖にゆかって人がいたってのを聞いてさ。賢くて美しいってのが大きいポイントだったかな。」
「それだけぇ?」
「うーん。あとは、多分この樫野有香ってひとによくわからん魅力を感じた。」
「はぁ・・・」
「ま、気にするな。お前は俺の娘の『樫野有香』だから。」
「うん、ありがと。」


聞けば聞くほど謎が深まっていく。
ずっと仕えてた家って西脇さんの家のこと?
失踪ってどういうこと?
なんでそこまで結婚を拒んだの?

その日の眠りは浅かった。



ー翌朝

「もう一回あの時代に行きたい・・・」
「へ?」
「あー、ごめんごめん。なんでもないよ。」
「そっか、てかゆかちゃん寝不足?くまできとるよ。」
「あー、きのう寝るの遅かったからかなぁ?」
「そっか、体大切にするんよ?」
「うん。」

やっぱそっくりすぎだよ・・・
あ〜ちゃん。西脇綾香様とはそりゃ違うよ。
あ〜ちゃんのふわふわパーマの方がやっぱ安心する。見慣れてるしねw
それでも、別人だって分かってても、無関係だなんて到底思えないよ。

「ちょっと待ってー!!!」
「「のっち!」」
「おいてくあんてひろいれすよー!!!」
「パンくわえたまましゃべらない。」

そう言ってあ〜ちゃんはのっちからパンを没収した。

「あー!のっちの朝ご飯!」
「寝坊するんが悪いんよ。ちゃんと寝癖くらい直してきんさい。」
「はーい・・・」

あぁ、もろ大本さんにしか見えん・・・
そういえばブレスレットしっぱなしだし。

「ゆかちゃん、どしたん?」
「ん、なんもないよ?」
「んならいいけどさっ♪」

そういえば、

「のっち、あんたあ〜ちゃんとはどうなっとん?」
「えっ・・・          なんも。」
「あんったって子は!!! どんだけヘタレなんよ!」
「だって〜・・・」
「言い訳はええんよ!あんなにいっぱいチャンス作ったんに・・・」
「あ〜ちゃん見るとドキドキしちゃってw」
「あぁもう・・・」

のっちはあ〜ちゃんのことが好き。
あ〜ちゃんだってのっちのことが確実に好きなはずなのに、この二人はまだお互いに言い出せないでいる。

「頑張ってクリスマスまでには・・・」
「長い目で見過ぎ。月末まで。」
「ええ!!!? ムリムリムリムリムリムリ!」
「やれと言ったらやりんさい。」
「え〜・・・」

後ろでぶーたれてるのっちを放置して下駄箱から内履きを取り出そうと自分のロッカーに手を伸ばした。

『樫野有香』

名前を見るだけで心をつかまれるような感覚に襲われる。
ふいに人差し指でその印刷された名前の文字の上のなぞった瞬間、


またもや私は意識を失った。


つづく





最終更新:2009年11月01日 03:29