「なんで雨なんよ、」
窓の向こうの土砂降りの景色を見ながら体育座りしたあ〜ちゃんがぼやく。
「だって台風じゃけ」
「でもわざわざ今日来なくたってええじゃろ」
むちゃくちゃだなあ。
そうぶーぶー言ってる彼女はあたしの腕の中。お腹に伝わる体温がじんわり暖かい。
あたしは窓に垂れる滴を眺める。勢いよくガラスぶつかっていく雨が、そこで急に力を失ったように真直ぐ線を引く。その雫のお陰で外の世界がさらにぼやける。まるで隔離された気分だ。
強い雨風に野晒しにされた世界と、あ〜ちゃんとあたしがくっついてるこの部屋の世界。
外は寒そうだけど、こっちは暖房もついてるし暖かいしこれ以上に求める事なんかない。安全で安心出来る世界。
ずっとこのままふわふわの髪の毛を弄ってるだけでいいのにな。そう思ってたらあ〜ちゃんがこっちに振り向いた。あたしが後ろから抱き締めてるから、必然的に距離は近い。
唇を近付けたら人差し指で阻止された。
「だめ?」
「だめじゃないよ」
「じゃあなんで…」
言いかけた所を唇で塞がれる。甘くて柔らかくて、あたしの好きなあ〜ちゃんとのキス。あ〜ちゃんからしたかったの!って事かな。こういう事に関してもリードしたがるから。
思う存分味わった頃にはあたしの上にあ〜ちゃんが四つん這いで乗っかっている状態。
そのままあたしの首や胸にキスをしていく。
「ねえあ〜ちゃん、」
「んー」
「もしあ〜ちゃんの知らない間に世界が終わってたらどうする?」
一瞬手を止めてこちらを見るけど、すぐに動きは再開された。
「その答は2通りありますね。」
「2通り?」
「もしあ〜ちゃんだけが取り残されちゃったらすぐに皆の後追っちゃうと思う。」
「それって…」
「でももしのっちと2人だったら」
そこは天国じゃろ?
耳元でそう囁いたあ〜ちゃんのせいで急激に体温が高まる。
あたしは雨音を聴きながら、あ〜ちゃんをずっと感じていた。
end
最終更新:2009年11月01日 03:32