Side-k
その日は、眠れなかった。
窓辺にもたれかかって、夜空を見上げると
悔しいくらい見事な満月で
ムカツク・・・と、呟いた。
満月は、好き。
だけど、大嫌い。
だって、のっちのこと奪っていったのも
ぞっとするくらい、キレイな満月の日、だったから。
のっち?
きっと、今、、、、そこにおるんでしょ?
次の日の朝。
あ〜ちゃんと待ち合わせ場所で合流して
駅へと向かった。
「おはよう」
挨拶を交わしてから、二人とも無言だ。
半年前までは、こうして隣を歩いていたのは
ちょっぴり背の高い、半分寝ぼけた顔したのっちだった。
ゆかより少し早くうちを出発しなきゃいけないのっちを
たたき起こして、手を引いて歩く。
職場は反対方向だったから、それぞれのホームで
向かい合って電車を待ちながら、メールでバカなことを言い合った。
電車の到着を知らせるアナウンスが流れると
決まってのっちは、「いってきます」て、唇で伝えてくれて
へらって笑って、手を振ってくれた。
その想い出が強烈すぎて、のっちがいなくなってから
ずっとこの駅は避けていた。電車通勤も極力、避けていた。
でも、もういいかげん。
そう思って、久しぶりに訪れてみれば、、、、
もう、いったいなんなんよ・・・
昨日とだいたい同じ時間にホームに到着する。
昨日のっちを見かけた、同じところで立ち止まる。
いつも、線路越しでふざけあっていた、二人の所定位置、だ。
「…ここ?」
「うん・・・」
「そっか…」
腕時計で時間を確認。
きっと、もう、そろそろ、だ。
Side-a
会えるなんて、信じてたわけじゃない。
でもそれは、かしゆかを疑ってたわけではない。
彼女は、嘘なんかつかない。
でも、、、、信じられなかった。
…信じられるわけが、ない。
だってー
そう思ったときだった。
「あ、、、」
かしゆかが呟く。
その視線を追う。その先に、、、、、−えっ・・!?
「…のっち・・・」
たしかに、そこに、、、、のっちは、いた。
「だよねっ!?あれ、のっちだよね!?」
かしゆかは、あ〜ちゃんの腕をぎゅっと掴み、揺さぶる。
「ねっ!?あ〜ちゃん!あ〜ちゃんにも見えるよね!?」
その手にはすごい力が込められていて、痛いくらい、、、、のはずなのに
あまりのことに、全く感覚がない。言葉も奪われてしまったようで、、
なにも、答えられない。
その力強い手が、この腕から離れたと思った瞬間
完璧にその場に貼り付けられたあ〜ちゃんの目の前を
かしゆかが、横切る。
えっ、、、あ、、な、なに?
っ!
向かいのホームに行ったんだ。
のっち、のとこへ。。。
あたしも行かなきゃ、、、頭では、そう思うのだけど
体は、全く動いてはくれなかった。
最終更新:2009年11月01日 03:49