ーねぇゆかちゃん…のっちはおかしくなっちゃったのかな…
地方の仕事が終わり、明日は東京に帰るという夜。
のっちはゆかちゃんの部屋を訪れた。
公私の区別はある。…つもりでいる。…多分。……素面なら。
あくまでも仕事でここに来てるんだから早々無茶なんかしない。
だって一度箍が外れたら、歯止めが利かなくなりそうだし…でも
理由なんて判らないけど、今夜はなんだかすごくゆかちゃんに触れたくて
気がついたら部屋をノックしてた。
バスタオルで頭を拭きながら顔を出したゆかちゃんはのっちを見て、
目を真ん丸くしてたけど、すぐ笑顔になって部屋へ迎え入れてくれた。
ゆかちゃんの部屋はのっちの部屋と同じ作り。
そりゃそうだよね、ホテルだもん。
なのに、ここはほんの数日で住人の匂いを吸い込んでしまったみたいに甘くて…
『一緒に住んだりしたら、ずっとこんな空気の中で暮らすのかな』
それ、半端ないよね。ちょっと…たまんないよね。
「こんな時間にどうかしたん?」
「…うん、…ちょっと…」
「なんよ、気持ち悪い。何の用よ?」
ベッドの淵に腰掛けて、無邪気に笑うゆかちゃん。
バスローブの合わせ目から覗く白い肌に理性が崩れる音がして、
気がついたらゆかちゃんを押し倒して、唇を奪っていた。
「…んっ…!?」
咄嗟のことに驚いたのか、ゆかちゃんは身体を強張らせて口を開いてくれない。
顎を掴んで強引に引き下ろして、出来た僅かな隙間から下を滑り込ませる。
胸を叩く腕を押さえ込んで、更に深く口付ける。
抵抗が止み、自分から舌を絡ませてくるゆかちゃんを存分に味わう。
唇を離すと、細く引いた糸が零れた。
見つめ返す潤んだ瞳に、こっちの方が泣きたくなった。
「寂しくなっちゃったの…?」
嫌だって言うんなら今だよ、ゆかちゃん。
酸欠気味ののっちの頭は、言葉も上手く紡げない。
でも、目が本当に口ほどに物を言うのなら、と、ただ見つめる。
届いてくれないかな?ゆかちゃん、のっちは、
「ゆかに会いたくて、会いたくて仕方なくなっちゃった…?」
…届いた。
つづく
最終更新:2009年11月01日 03:56