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Side A
ひとつのマグカップを手に、彩乃様のお部屋の前で、はたと立ち止まる私
ついつい来てしまいましたが、コレはどうしたらいいんでしょう?
早くしないと冷めてしまいます…
手元のマグカップを見つめて、考えていると

「綾香ちゃんどうしたの?」
直子さんが声を掛けてくださいました
「ぁ、ぃえ、コレを彩乃様に飲んでいただこうと作ってきたのですが…」
「ん?ホットミルク?」
マグカップを覗き込んで、聞いてこられ
「はい、それにはちみつが入っているんです。風邪をひかれた時は、いつもお飲みになっているので…」

「そっか、じゃあ、中に入って渡してきたら?」
「はぁ、それが、彩乃様の風邪が治るまで、部屋に入ってはいけないと言われてまして」
「彩乃様に?」
「はい…」
「綾香ちゃんにうつっちゃいけないからって?」
「はい…」

「なるほど、じゃあ私がお渡ししておくわ」
「お願いできますか?」
「もちろんよ?」
「それでは…お願い致します」

マグカップを直子さんに託して、そのまま仕事へと戻る私



彩乃様、今朝はとても辛そうでした
できたら、お側で看病させて頂きたかったのですが
『あやちゃん、しばらく来ちゃダメ』
と言われてしまい、直子さんが看病して下さっているんです

はぁ…
早く良くなって下さると良いのですが…

Side N
昨日からちょっと具合がいまいちで、今朝起きたら見事に熱がでていた
あやちゃんには、治るまで来ちゃダメって言ってある

うつしたくないってのもあるけど…

コンコン
「失礼致します」
あ、直ちゃんだ
ん、なんか持っとる

「コレ、ホットミルクにはちみつが入ってるそうです」
「?そうです?」
直ちゃんが作ったんじゃないの?
「さっき部屋の前で綾香ちゃんから頼まれました」
「あ、そうなん?」
うわ、それ嬉しい!

ホットミルクを受け取って、少しずつ飲んでいく
そういえば、風邪ひくといつも作ってくれるっけ

「綾香ちゃん心配そうでしたよ?」
「ぅ?んー、でもうつしたくないし…」
「私はうつっても良いんですか?」
「えw、や、そぅいう訳では…w」
「ホントにそう思ってます?」

ふおwごめんなさいw
ホントは全然気にしてませんでしたw



「ま、別に良いですけど」
「あはは…」
「それに、綾香ちゃんに優しくされて、体調悪いのをいいことに変な気起こされても困りますし?」
「は、は……」

「ちょっと、彩乃様!黙らないで下さいっ。もしかして図星なんですか!」
「い、ま、まっさかぁ〜…」
いや、すみません。図星です…
なんていうか、あやちゃんに看病されちゃったら、理性飛んじゃいそうだから

「…まったくもう」
呆れたように溜息を吐く直ちゃん

「だから、直ちゃんにお願いしたんよぅ。あやちゃんだと甘えちゃうけぇ」
「そういうことなら、全力でお世話させて頂きます!」
グッと拳を握ってやる気満々の直ちゃん
「お、お願いしますぅ」
ちょ、ちょっと怖いかもw



翌日
熱は下がったけど、今度は鼻水とくしゃみが大変なことになっている

ふぇっくしょいw
ズズ…

あぁ〜
鼻かみすぎで頭ぼ−っとする…

「彩乃様。今日も綾香ちゃんからですよ」
「あぅ、ありがどぅ」

あやちゃんのホットミルク
なんか落ち着くな…
飲み終わっても、ほんのり温かいカップで、余韻に浸って目閉じとったのに
すぽっとカップを持っていかれて

「あ゛…」
「はい、彩乃様。飲み終わったら眠った方が良いですよ?風邪は寝るのが一番ですから」
「ぅぅ、あぃぃ」
ちょっと淋しいけど、仕方なくもそもそと布団に包まる

はぁ〜…
一日会ってないだけなのに、超恋しい…
あぁ、愛しのあやちゃん…
早く会いたいな

…ずぴぃ
はぁ、はよ寝てはよ治そっと…



さらに翌日
だいぶ鼻水もくしゃみも治まったみたい

「はい、今日の分です」
「ん、ありがとぅ」
今日で3回目のホットミルク

「彩乃様」
「ん?」
「綾香ちゃん、元気ないんですけど」
「ぅえ?何で?まさか風邪?」
「いえ、それは違うみたいです」
「は〜、なんだぁ、なら良かった」

ほっと一安心。と言いたい所だけど
「じゃ、どうしたの?」
「そんなの、彩乃様にお会いできないからに決まってるじゃないですか」
「え?」
「さっき『まだ治るまで掛かりそうですか?』ってすごく切なそうな顔してましたよ?」
「そ、そうなの?」
「溜息まで吐いて」
やばい、想像しただけで萌えるw

「でも、この調子なら明日には大丈夫そうですね?」
「うんw」
「では、綾香ちゃんに伝えておきます。きっと喜びますから」
「うん、お願いしますw」

「ホント、二人とも可愛いですね?微笑ましいですw」
なんて、言い残して部屋を出て行った直ちゃん
微笑ましいだなんてぇ、嬉しいな〜w

あやちゃん…
明日楽しみだw



夜になって様子を見に来てくれる直ちゃん
薄っすらした意識の中、部屋のドアを閉める音が聞こえてきた
直ちゃんの気配がベットの脇まで来て、そっとおでこに触れてきた

あれ?なんか雰囲気が違くない?
重い瞼を少しだけ上げると

「ぁ、すみません。起こしてしまいましたか」
「あ、あやちゃん?」
手を引っ込めるあやちゃん

なんと!目の前にいるのは、愛しのあやちゃんじゃあ〜りませんかぁ

「直子さんに、夜こっそり行っておいでと言われたので、来てしまいました」
あたしを起こしてしまった事に、少し申し訳なさそうに笑ってる
「早く、彩乃様のお顔が見たくて…」

あ、マズ…
そう思ったけど、あたしの腕は勝手にあやちゃんへ伸びて引き寄せた

「彩乃様っ」
「…ホットミルク、ありがとね。あれですごい温まって、良く寝れたんよ」
「ぃえ、あれしか出来ること思う浮かばなかったので…」
そっとあたしの肩に腕を回してくるあやちゃん

ふ〜、危ない…
危うくキスしそうんなったわ



Side A
ホットミルクお役に立てたみたいで、良かったです
それにしても…この体勢だとちょっと困ります
お顔だけ見て戻ろうと思っていたので…

「彩乃様…」
「ん?」
彩乃様のお顔の脇に両手を突いて、彩乃様を見下ろして
「キス…しても、宜しいですか?」
「へ?」
「!!す、すみませんっ」

自分の口をついて出た言葉にハッとして、慌てて体勢を戻そうとしたのですが…
背中に回された彩乃様の腕に、離れることができずに、彩乃様と視線を合わすこともできず…

「あやちゃん、キスしたいん?」
ニコニコ嬉しそうに聞いてこられて
「ぃえ、その…」
彩乃様の体調が良くなるまで、我慢してようと思っていたのに
そう聞かれてしまっては
「…はぃ、したぃです」
そう、お答えするしかありません

「風邪、うつるかもしれんよ?」
そんなこと仰られても、もう遅いです
「構いません…」
ずっと、触れたくてしかたなかったんですから、お預けなんて嫌です…
やっぱりダメなんて、無理ですからね?

「じゃ、もしうつったら、あたしが看病するけぇw」
「それ、約束ですよ?」
「うんw」



Side N
「それでは、失礼します…」
そう言って口付けてくるあやちゃん
あやちゃんのことだから、軽く触れるだけかなと大丈夫と思っとったのに
予想以上に深いキスで、あたしの心臓ばくばくw

絡まる舌に、吸い上げる唇
これはヤバイw

「ん…あや、ちゃん」
一呼吸おこうと、あやちゃんを呼んでみたんけど
「ふぁ…彩乃、様。どうしましょう?」
唇を離したあやちゃんの瞳は潤んでて
「どうしたん?」

「止められない、みたぃ、です」
縋るような瞳に…言葉に
カーッと自分の血が頭に上るんが分かった

うぉww
もう無理w理性まるごと持ってかれたw

「あやちゃん…っ」
そりゃもう衝動的に…
あやちゃんの顔を引き寄せてキスして…
さっきまで見上げていたあやちゃんを見下ろして…



あやちゃんが作ってくれたホットミルクより熱くて
そこに入っていたハチミツより甘々なあやちゃん

あたしのメイドさんは
あたしの一番の特効薬でもあるんね
お陰で、翌日にはすっかり元気になりましたよw

しかし二日後…
見事にあやちゃん風邪引いちゃって…ごめんね?
直ちゃんにめっちゃ怒られたのっちでありました


〜Honey〜fin






最終更新:2009年11月11日 03:39