Side-k
のっちが、ゆかのうちに転がり込んできてから、10日。
なんか、もう
のっちなの?なんて考えるのも、バカらしくなってきた。
てか、どうでもよくなってきた、や。
「ゆかちゃん」
そう呼ばれるたび、
「のっち」
そう呼ぶたび
ぐちゃぐちゃになっていた
ココロの中が、整理されていくようだった。
なぜだか
のっちは、“のっち”のことを聞きたがる。
あんなことがあってから、誰も
“のっち”のことを話してこなくなっていた。
ゆかも、必死に忘れようとしていたから
話されたくなかった・・・
コトバにしてしまえば、全部、ほんとになってしまうようで…
忘れたいくせに、認めたくない。
んーん、、ほんとは、忘れたくなんかなかったんだ。
忘れられるわけ、ないんだから。
でも、のっちに聞かれるのは、ヤじゃなかった。
むしろ、あったかく
改めて、“のっち”の存在がゆかの中に溶けていくような…
「どんな人、だったの?」
「んー、すっごいマイペース。びっくりするほど、マイペースw」
「ケンカしたり?」
「なんか、ゆかが一方的に叱ってた、感じ?」
「ははw」
「でも、すごく素直な人だったから、、、こんなゆかでも嫌がらず一緒にいてくれた、、、の、かな…」
「ふーん…」
「わからんけど…」
「なにしてたの?」
「音楽関係?ダンスしてたよ」
「ダンス?」
「うん。踊ってるときは、最高にきらきらしてた」
「へぇ」
「もうなんかね、いろいろと残念なんだけど、
音楽に触れてるときだけは別人みたいでねw・・ほんと、、、
「ん?」
「ん?…うん、、かっこよかったなぁって…」
「なんか、さ」
「うん」
「“のっち”は、きっと幸せだっただろうね」
「え、なんで?」
「ん?なんとなく?w」
「えぇ、意味わからんw」
やさしく、包み込んでくれるように微笑んでくれた。
「さみしい?」
「…うん、さみしい、よ」
生ぬるい風が二人の間を吹きぬける。
「なんで?」
「えっ?」
「あ、ごめん、つっこみすぎた」
「…あぁ、、、なんで、“別れた”の?って…?」
「あ、うん、、、」
窓の外は、、、新月だろうか?
月を見つけることは、できなかった。
「・・別れた、、、んじゃなくって、、、いなくなっちゃった」
「・・・」
「もう、二度と会えなくなっちゃった・・」
「病気?」
「んーん、事故、みたいなもの」
「そ、、、」
「ある時ね、なんか腕とか傷だらけで帰ってきたの。
どしたの!?て聞いたら、子ども助けようとして、転んだって」
「傷は、ほんとそんな大したことなかったんだよ・・・けど、、
転んだ拍子に、頭打ってたみたいで、、いつもとおんなじように眠ったくせに
もう、二度と、目、覚ましてくれなかった・・・」
「ほんと、なにやってんだろね・・いつもはさ、困ってる人見かけても
なんも、できなくって、うわぁ、、なにしてんだろ、なんて自己嫌悪するような人だったのに…」
「ヘタレなのに・・・バカだよ・・・キャラにないようなことしちゃってさ・・・」
「…バカ、だね・・・」
「んーん…バカでヘタレだけど、いざってときは、誰よりも頼りになる人だったよ・・」
「そっか・・・」
うわっ、泣きそう。。。。だから
「なんてねぇw暗くなっちゃった」
そう言って、ごまかそうとしたのに
その長い腕はすっと伸びてきて、あったかい手のひらで、ゆかの頭を撫で
ハの字眉で、困ったような、やさしい表情で
「ちゃんと泣いた?・・・泣いていいんだよ?」
なんて、“のっち”みたいなことするから
あたしは、のっちが死んでしまってから
初めて
本気で、のっちを想って、
涙を流して、泣いた。
最終更新:2009年12月09日 14:00