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ごめん…。呟くのっちがいきなり視界から消えた。
と、思う間もなくゆかの両足を持ち上げて広げ、
濡れた部分に舌を這わせてくるのが分った。
「あぁん……っ!」
バネ仕掛けのように跳ね上がる腰と鋭い声に驚いたのはゆか。
逆にのっちはそれを予測していたかのようにやり過ごすと
また襞を熱い舌で舐め、吸い付いてきた。



のっちとはもう何度となく身体を重ねてきたけれど、
ここに舌を這わされたことはないに等しい。
理由は簡単。ゆかが嫌がるから。
初めのころのっちの方がしたい素振りを見せたこともあったけれど、
ゆかが拒めば存外素直に頷いて収めてくれた。

ゆかはのっちのやさしいキスと自然な愛撫だけで十分。
それだけで信じられないほど気持ちよくなって
何度も何度も上り詰めて、気を失ったことさえある。だから…
そんな動物みたいな本能剥き出しのセックスなんか必要としてない。



でも、本当は違う。


ゆかは、のっちを愛してる。誰よりも大切に想ってる。
日を追うごとに高まるその想いは純度が高まりまくって
もう世界中全員不幸になったってええよ。
のっちだけ幸せならそれでええんよ。
そんな風にすら思ってる。

ゆかの誇りは、のっちを愛していること。
のっちを思うだけでゆかは頑張れる。

その想いに、のっちとのセックスがあまりにもイイとか
そういういやらしい感覚が混ざってくのが怖い。
のっちの指に、舌に翻弄されてなにもかもがどうでもよくなって
快楽を追うだけのゆか。でも…

誰とでも気持ちよくなれるわけがないんよ。
のっちだからこんなに欲しいんよ。
嫌われたくないんよ。
必要とされなくなるのが怖いんよ。
そんな単純なことなのに、伝えられないまま流されていくのが
死ぬほど怖いんよ。

だから、嫌だったんよ。






指を模したのっちの舌はゆかを深く抉りながら
ゆかが反応を鋭くする部分をくまなく嘗め、
上の小さく敏感な突起を指で撫で回す。
「…ふぁっ……待っ………!!」
燻り始めた快感に視界が潤んで歪み始めた。
シーツを掴む手は痺れてさまよい、
辿り着いたの先はのっちの髪。
「ん…ゆかちゃん…もっと…?」
頭を引き剥がしたくてそうしたのか、
それとももっと奥まで欲しいのか
もう自分でも分からない。
「——やぁ…はぁっ、の…っち…!」
名前を呼ぶと、のっちの舌の動きがいっそう激しくなった。
蜜を嘗め尽くしたのっちは、頭をずらして
突起に直に口付けてきた。
ちゅうう…と吸い付き、引きずり出されると目の前に火花が散った。
「…やっ…はぁはぁ、…ダメ!…やだぁっ…!」
—のっちの舌が突然動かなくなって、しばらくした後、
やっと視界にのっちが戻ってきた。なんともいえない表情。


そのまま唇が重なる。やさしい、口付け。好きだよのっち。
でも、…足りないよ。もうゆか…欲しくて欲、
「…やらしい顔…まだ足りないって顔してる」
見抜かれて、思わず涙が出た。
やっぱり嫌?こんなゆか、嫌いになったじゃろ?
なのに、こんなときまでのっちの唇はただやさしくて。
「…らい…?」
「ん?」
髪を撫でる手もただただやさしくて。
「…やらしい、ゆかは、嫌い…?」

覚えておこう。これが最後なら、きっと一番後まで残る記憶になる。

つづく






最終更新:2009年12月09日 14:02