Side-a
あれから
かしゆかに付き合って、駅に行ってから
数日が経った。
かしゆかのことは心配だったけど
仕事も忙しくって、、、
でも、たまにするメールでは
思ったよりも落ち着いていて、、なんとなく安心していた。
だって、、、、
あれは、ないじゃろ?
のっちすぎて、、、、反則、だ。
今日は久しぶりに、仕事が早く終わった。
よし、かしゆかの大好きなアイスでも買って
様子でも見に行こう、かな。。。。
とりあえず、事前にメールをいれたけど、、
忙しいのかな、、、返信はない。
ま、とりあえず向かおう。。。
マンションが近づいてくると、部屋に明かりが灯っているのが見えた。
なんだ、もう帰ってんじゃん・・・
めずらしいな、メール気付かなかったんかな?
エレベータであがり、インターホンを押す。
「はーい」
「急にごめんね、かし、、ゆ、、、、か・・・
はっ?わけわかんないんですけど。
えっ・・・?なんで?
なんで、この人が出てくるの?
ダメだ、、、、こんなに近くで見ても、、、、のっちにしか、見えない。
それより、この人、、、、もしかし、て?
「えっと、、ゆかちゃん、まだ帰ってないんですよ」
「・・・・」
びっくりしすぎて、なにも答えられないでいると
「あれ、あ〜ちゃん?」
後ろから、声がした。
振り返ると、かしゆか。
これはどういうことなん?
そう聞くよりも、先に
「あ、ゆかちゃん、おかえりなさい」
「うん、ただいま、のっち」
はっ?・・・のっち?
「おかえりなさい」「ただいま」・・・?
「かしゆか!?なに!どういうこと!全っ然わからんのだけど!?」
「あ、、うん・・・」
そう言って、かしゆかは軽く瞳を伏せた。
「とりあえず、中、入ろ…?」
聞きたいこと、言いたいこと
全部飲み込んで、部屋にあがった。
テーブルの上には、二人分の食事が用意されていた。
ソファには、タオルケットが丸まっていて、いかにも誰かが寝起きしてます、って感じ。
奥のキッチンをのぞくと、おそろいのカップが洗い乾かされていた。
これは、、、まずいじゃろ?
胸がツキンと痛む。
「あのさ、、かしゆ、、、
「あ〜ちゃん、ごめん!」
あまりの勢いに、言葉が止まる。
そして
あまりに真剣な、まなざしに、再び言葉を飲み込む。
「あ〜ちゃんの言いたいことは、わかっとる。わかっとるよ・・
でも、今のゆかには、この時間が必要なの、、、」
でも・・
「あと少しだけ、見て見ぬフリしてて?」
「…あと少し、、?」
「うん、、のっちの、、、あ、てか、彼女の記憶が戻るまで」
「・・・記憶、、、ないん?」
「うん・・」
「でも、、それって、いつになるかわからんでしょ?」
「うん、、でも、たぶん、、、、もうすぐ、だよ…」
あぁ、、もう、なんなんよ!?
もう、、、そんな表情されたら、、、言いたいことも言えない。
けど、、、
「 “のっち”はもう、いないんだよ?」
それだけは、どうしても、きちんとさせたかった。
「…わかっとるよ」
かしゆかは、曖昧に微笑んだ。
Side-k
—“のっち”はもう、いないんだよ?
うん、それは、十分に理解してるよ。
でもね、これはね
頭の中じゃなくって、ココロがわがまま言ってんだ。
だから、ちゃんと
ココロにも、言いきかせなくちゃいけない。
それが、人からみれば
想像の範疇を超えてるようなこと、でも
残念ながら、今のゆかには、とても必要で。。
のっちが部屋にあがってこない。
入りづらかったのかな、と思い、
「のっち…?」・・・玄関をのぞいても
そこには、いなくて
うそっ!・・・
また、おいていかれた!?
思うと同時に、部屋を飛び出した。
最終更新:2009年12月09日 14:16