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「うあ!!…びっくりした〜」
「え、ちょっとのっち大丈夫!?」
「大丈夫大丈夫っ、かすめただけだから。」
「も〜のっちは雑に彫りすぎなんよ!もっと丁寧にやってればそんな危険ないんじゃけえ。」

ごもっともですあ〜ちゃん様。
美術の時間。のっち達3年生は卒業製作で木彫りのオルゴールを作っております。
1学期からずっと続いてたこの製作もいよいよ佳境!彫刻刀でガリガリやっております。結構危険であります。
のっちなんてさっきから左手ギリギリにかすめまくり…あ、うっすら切れてた。

「絆創膏もらってくる」
「何?切れてたの?手洗ってから行きなよー」

「あ。あ〜ちゃん絆創膏持っとるよ!ちょっと教室まで取りに行ってくる。」
「いーよ悪いよっ。保健室で貰うから大丈夫!」
「保健室より教室の方が近いじゃろ?ちょっと待っとりんさい。」

あ…行っちゃった。

こないだ公園で会った日。あのすっごい寒かった日。
なんやかんやで遅くなっちゃってのっちはあ〜ちゃんを家まで送り届けた。チャリ2ケツで。
そうしたのは夏以来で、心なしか夏より後ろが重く感じたのはぐるぐる巻きにしたマフラーのせいにして、スピードを上げた。
はしゃぐ声もしがみついてくる腕もちょっとだけ感じた体温も
未だにはっきりしてんだよな〜。

なんて言うか、うん。幸せだったな〜なんて思って。
送り届けたあと夜道が怖くて汗だくダッシュで帰ったのも今となってはいい思い出…って、ん?

「……ゆかちゃん?」
「ニヤニヤ嬉しそうだね〜」

あら、また顔に出てた?
やばいやばい変に思われちゃう。

「あ〜ちゃん優しいね〜」
「うん!超優しい!」
「のっち愛されとるね〜」
「……ふへへ」
「うわ、否定しないよこの子」
「だってぇ〜」




だってだってなんだもん!
まずい、なんか余計ニヤけてきちゃった。
だって、うん。なんか、うん。さすがに自分でも感づくよ、うん。
のっちあ〜ちゃんに愛されとる!!

だってあれからなんだかスキンシップも増えたし。
移動教室の時とか手繋いだり、休み時間に後ろから覆いかぶさられたりが普通になってきたんだもん!
そのたびのっちはニヤけ防止の為やんわり振りほどくんだよ!
あーもったいね!

「ニヤニヤすんな」
「いてっ!」

な…!彫刻刀の柄の部分で殴りよったよこのお人!
普通に痛いじゃん!なんてことすんだよー。

「ゆかちゃんこれはひどいっす!超痛かったっす!」
「あ、痛かった?」
「いったいよー!タンコブできた!」
「うそ」
「本当。ほらココ。触って。」
「うわーマジじゃん。ごめん!」
「…なぜなぜしてくれたら許す」

…あれ?さっきまでと目の色が違うではないか。
心配の目からどこか冷めた目に…
いやでも無茶な要望はしてないもん!今回ばかりはゆかちゃんが悪い!
よってゆかちゃんはのっちの頭をなぜなぜする義務があるのです、けど、やっぱダメ?

「ねーなぜてよー。ダメ?」
「はぁ…ごめんね〜?よしよし」
「もっと優しく」
「…よしよし」

なんだかんだ言ってもゆかちゃんはのっちが好きだからね。
若干やけくそな気もするけどこれは愛だね。
いや〜愛されてんなーのっち!

「…犬みたい」
「ん?なに?」
「わしゃしゃしゃしゃ〜」
「わー!」
「のっち頭ボサボサー!ニヒヒッ」

これも愛だよねきっとそうだよね。

「ゆかちゃんそんなにのっちが好きなの?もー。」
「え、意味わからん!」

「のっちー」

そうこうしてるとあ〜ちゃんが帰ってきた。

「絆創膏持ってきた…って頭ボサボサっ!」

子供みたい、とか言いながら笑って、あ〜ちゃんが優しく髪をといて直してくれてます。
いや、これはいいもんですな。ふへへ。

「あ〜ちゃんありがとう!」
「そんな直してあげることないよあ〜ちゃん」
「うん、それもそうか。えい!」
「わー!」

直した先からまたボサボサにされた…。
いや、これもきっと多分愛ゆえの行為なんだよね?あ〜ちゃん。

つづく






最終更新:2009年12月09日 14:40